サンマルティン リアルスティールに負けない“大物”の予感/トレセン発秘話
◆エスポジートが絶賛した新馬戦
戦前はドゥラメンテが負ける姿を想像するのは難しかった。15日のGIII共同通信杯(東京芝1800メートル)の話である。5馬身差で圧勝した前走セントポーリア賞(500万下)と同じ舞台。その勝ち時計1分46秒9は例年の共同通信杯を上回るレベルだ。中1週でも馬体重の増減はなし。1分47秒2の走破時計、33秒7の上がりを見ても、この馬とて力は出し切ったはずである。それでも2着…。
つまりは優勝馬リアルスティールの走りがあまりに強烈すぎた。
ついに本物が出た――。そう感じさせるに十分なパフォーマンスを、キャリア2戦目の若駒が難なく披露したのである。かつてディープインパクトを担当した市川明彦キュウ務員は同馬の個性を「規格外であること」と表現したが、そのスケールはまさに父譲りといえようか。
スターホースの出現。それは牡馬クラシックの敷居を一気に高くするもの。逆に言えばライバル勢は大変だ。今後半端な勝ちっぷりでは“夢”が見えてこないからだ。それでも…。その可能性を秘めた馬が今週東京で出現することを当方はひそかに期待している。初陣(新潟新馬1着)で新種牡馬である父ハービンジャーの評価を一躍高めたサンマルティン。関東期待の星が約半年ぶりにターフに戻ってくるのだ(22日の東京500万下=芝2000メートル)。
当時手綱を取ったエスポジートに「日本に来て乗った中で一番すごい。来年のダービーにこの馬で出たい」と言わせたデビュー戦。その後に爪に不安を発症し休養を余儀なくされたが、そのブランクが単なる遠回りでなかったことを国枝キュウ舎・椎本助手は約束する。
「何といっても、あの(辛口の横山)ノリさんが稽古の後、珍しく褒めてましたからね。確実に成長を促す充電になったと思います」
その言葉に偽りがないことは、古馬オープン級をアオってみせた1週前の動きが証明する。ここにはシンザン記念(4着)で1番人気に支持されたダッシングブレイズ、東スポ杯4着エミネスクら評判馬も集うが、その分だけ可能性を測れる貴重な一戦。リアルスティール同様、キャリア2戦目にして“本物”を示せるか否か…その走りに注目だ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)