この世代のダート界のトップホースではないかと思っているブチコ(吉田竜作)
◆芝路線かダート路線か、アイドルホースの行く末は来週末に決定するはずだ
先週の段階で個人的にランキングをつけるなら、牡馬はGI馬ダノンプラチナ、共同通信杯を勝ったリアルスティールが暫定トップ。牝馬はルージュバックが2歩くらいリードか。そして、ダート路線はというと…ちょっとゴールデンバローズに勝ちっぷりには驚かされた。道中の手ごたえからも怪しく映ったが、直線でギアが上がると走りが一変。これでダートに変わって3連勝となったが、今の状態なら芝に戻っても…という感じさえした。この先どこに向かうかが楽しみだ。
では、ダート路線はこのゴールデンがトップかと言えばそうではない。次走は芝のチューリップ賞を予定しているブチコこそ、この世代のダート界のトップホースではないかと思っている。上がりが速くなる傾向のある京都とはいえ、未勝利を勝った時のラスト2ハロンの11秒7−11秒9というラップは芝並みの数字。この血統と言えば「父クロフネ」のイメージが強い(2番子ホワイトベッセルから6頭連続でクロフネが種付けされている)かもしれないが同馬は父がキングカメハメハ。それを承知であえて言わせてもらえば、この走りこそ、クロフネが初ダートを走った時によく似ている。
ただ、今回のチューリップ賞挑戦も陣営に期待がないわけではない。「デビュー前は攻め駆けもしなかったし、実際に芝の新馬戦で5着には来たし、その後も入着していた。芝の実戦に行っていいタイプなんだと思っていた」と振り返るのは音無調教師。確かに時計を出し始めた時は目立つほどの動きをしていなかったのだ。それが、ここにきて一変。坂路でも52秒台が出るようになり、はっきりと力をつけてきたのがわかる。「芝で使い出した時とは違って攻めも動くようになったし、力もつけた。芝で勝ち切れなかったのが完成度の違いだとすれば、今のデキならという気持ちはある」と同師。桜花賞路線へ進むのか、交流重賞を経由して関東オークスへと駒を進めるのか。アイドルホースの行く末は来週末に決定するはずだ。
◆今年がラストクラシックとなる松田博厩舎だがエースと目されるレーヴミストラルが未だ放牧から帰ってくる気配がない…
さて、今年がラストクラシックとなる松田博厩舎だが、ここまで2勝馬がゼロ。何とか格好をつけてほしいのだが、エースと目されるレーヴミストラルが未だ放牧から帰ってくる気配がない。「牧場に出したら向こうに任せるから仕方がないさ。でも、こうなるなら手元に置いて調整してもよかったかなとも思うわな」と寂しげに笑う松田博調教師。「ダービーには出せる馬だと思う。ただ、関西馬のダービーとなると、やはり皐月賞をステップにするローテーションが王道。青葉賞やプリンシパルSを経由していては厳しくなるから」と、あくまで狙うのは“出走”ではなく“勝利”。いい形で本番にエントリーできるといいのだが。そして、レーヴより先に2勝目ゲットのチャンスを迎えるのがライトファンタジア。「本当は前走で決めておきたかったけどな。それでも変わり無く来ているし、この血統としては本当に落ち着いている。長いところが合いそうだし、牡馬相手でもそう引けは取らないと思う」と師。こちらはオークスに向けてもう負けは許されない状況。すっきり決めてほしいのだが。