先週末の土曜日も出走枠を巡るポイントが設定されたケンタッキーオークス・ポイント指定競走が行なわれた
3歳牡馬・セン馬たちによるケンタッキーダービー戦線にばかり目が向きがちだが、3歳牝馬たちによるケンタッキーオークス戦線も、本番まで2か月半余りとなってヒートアップしつつあり、先週末の土曜日(21日)も、ニューヨーク州、フロリダ州、ルイジアナ州の3州で、出走枠を巡るポイントが設定されたケンタッキーオークス・ポイント指定競走が行なわれた。
ニューヨーク州のアケダクトで行われたのが、ブッシャーS(d8.5F)だ。総賞金10万ドルの準重賞だが、1着50点、2着20点、3着10点、4着5点という高いポイントが設定されている上に、コンドコマンド(牝3、父ティズワンダフル)が今季初戦にここを選択したこともあり、大きな注目を集めた。
コンドコマンドは、G2デラウェアオークス(d8.5F)など3つの重賞を制したイヤリーリポートの4番仔だ。キーンランドセプテンバーセールにて7万2千ドルで購買され、ルディー・ロドリゲス厩舎に入厩。2歳8月にサラトガのメイドン(d5.5F)を12馬身差で制しデビュー勝ちを飾ると、次走G1スピナウェイS(d7F)も13.1/4馬身差で制してG1で重賞初制覇。続くG1フリゼットS(d8F)で4着に敗れて初黒星を喫したものの、2歳最終戦となったG2デモワゼルS(d9F)を11.1/4馬身差で制して2度目の重賞制覇を果している。勝った時のパフォーマンスはいずれも桁違いで、一部の関係者からは「今年の3歳牝馬ナンバーワンはこの馬で決まり」との声も挙がっている逸材だ。
2か月振りの出走となったブッシャーSでも、1.2倍という圧倒的1番人気に推されたコンドコマンド。6頭立ての6番枠から出た同馬のスタートダッシュは鈍かったが、3〜4完歩で自分のリズムを作ると他馬とのスピードの違いを見せ、1コーナーに突入する前にハナへ。
3コーナーから後続を突き離しにかかったコンドコマンドに、前半は4番手を追走したG2メイトロンS(d6F)勝ち馬ポールアズシルヴァーライニング(牝3、父ゴーストザッパー、6.3倍の2番人気)が食い下がっていったが、直線に向いてコンドコマンドが軽く追われると付いていけず、最後は4.3/4馬身差の楽勝となった。2着がポールアズシルヴァーライニングで、前走ブサンダS(d8F70y)4着のスイートオンスモーキー(牝3、父サクセスフルアピール、33.25倍の5番人気)が2着馬から13.3/4馬身遅れの3着だった。
コンドコマンドの次走は、4月4日にアケダクトで行われるG2ガゼルS(d9F)が有力だ。
同日にフロリダ州のガルフストリームパークで行われたのが、G2ダヴォナデイルS(d8F)である。総賞金20万ドルで、ケンタッキーダービーポイントはブッシャーSと同様の、1着50点、2着20点、3着10点、4着5点が設定されていた。
ここは抜けた馬がおらず、デビュー6戦目のメイドン(d8F)で初勝利をあげた後、続く条件戦(d8f)も連勝してここへ臨んだエスケンフォーマネー(牝3、エスケンデレア)が1番人気に推されたものの、オッズは4.7倍もつき、以下6.6倍までの間に5頭がひしめく大混戦模様となった。
そして結果も大接戦となった。逃げたエカティーズフィートン(牝3、父テイルオヴエカティ、27.8倍の10番人気)が直線に向いて粘りを見せるところへ、必死の追撃を試みたのが道中2番手で競馬をしていた1番人気のエスケンフォーマネー。更に、デビュー4戦目のメイドン(d8.5F)で初勝利を挙げた後、前走G2フォワードギャルS(d7F)も連勝して重賞初制覇を果したバードアットザワイア(牝3、父サマーバード、5.7倍の3番人気)が外から脚を伸ばし、3頭が横に並んでのつば競り合いに。
結局、エカティーズフィートンが頑張り切って勝利を手にするという波瀾の結末となり、首差の2着がバードアットザワイア。更に首差遅れた3着がエスケンフォーマネーとなった。
OBS8月1歳市場にて5万ドルで購買された後、OBS3月2歳市場に上場されたものの15万ドルで主取りとなったエカティーズフィートン。2歳8月にガルフストリームパークでデビューし、メイドン(d6F)と一般戦(d6F)を連勝したものの、続くガルフストリームパークの特別(芝8F)、コールダーの特別(d6F)を連敗。今季初戦となったG3オールドハットS(d6F)で重賞初制覇を果した後、前走G2フォワードギャルSは4着だった。
次走は、3月28日のG2ガルフストリームパークオークス(d9F)に向かうか、再び距離の短いレースに照準を向けるか、関係者が協議をして決める模様だ。
同日にルイジアナ州のフェアグラウンズで行われたのが、G3レイチェルアレグザンドラS(d8.5F)だ。こちらは総賞金17万5千ドルで、ポイント設定は前記2競走と同様である。
ここは、フェアグラウンズの特別シルヴァーブレットデイS(d8F70y)を8馬身差で圧勝したアイムアチャッターボックス(牝3、父マニングス)という軸馬がいたのだが、同馬が10頭立ての10番枠をいう大外を引いてしまったため、オッズ4.3倍というマイルドな1番人気となり、以下オッズ6.3倍までに5頭がひしめくという、ここも混戦模様となった。
シルヴァーブレットデイSを逃げ切ったアイムアチャッターボックスが、外枠だったことで先手をとれず、1〜2コーナー中間点で隊列が固まった際には後方から2頭目に位置するという、予想外の展開に。
3コ−ナー過ぎから追撃態勢に入ったアイムアチャッターボックスが、他馬をごぼう抜きしながら4番手で直線へ。残り1F標識の手前で先頭に立った後も伸び続けた同馬が、最後は鞍上が手綱を控える仕草を見せながらも後続に2馬身半差をつける完勝となった。前走フェアグラウンズの条件戦(d8F70y)で2勝目を挙げてここへ臨んだラヴリーマリア(牝3、父マジェスティックパーフェクション、6.3倍の5番人気)が、好位から粘り込んで2着を確保。2番人気(5.2倍)に推されたG1シャンデリアS(d8.5F)勝ち馬アンジェラレネー(牝3、父バーナーディーニ)は、後方から追い込みきれず4着に終わっている。
アイムアチャッターボックスの次走は、3月28日のG2フェアグラウンズオークス(d8.5F)か、4月4日のG1アッシュランドS(d8.5F)になる模様だ。
2月21日の戦いを終えた時点で、ケンタッキーオークス・ポイントランキングは、ブッシャーSを勝ったコンドコマンドと、レイチェルアレグザンドラSを制したアイムアチャッターボックスの2頭が、61ポイントで最上位に並んだが、出走条件のない重賞特別における収得賞金が上位のコンドコマンドが、ランキング上では首位となった。更に、ダヴォナデイルS勝ち馬エカティーズフィートンが、51ポイントで第3位。昨年の北米2歳牝馬女王で、今季初戦となったオークローンパ−クのLRマーサワシントンS(d8F)も白星で通過したテイクチャージブランディ(牝3、父ジャイアンツコーズウェイ)が、40ポントで第4位となっている。
ケンタッキーオークス戦線もこれからいよいよ佳境を迎えるだけに、皆様にもぜひご注目をいただきたいと思う。