M・デムーロ、ルメールへの乗り替わり起きる中、昆師の“オールジャパン”の底力に期待したい/トレセン発秘話
◆昆調教師「日本人ジョッキーを育てなくていいのかって問題だってあるだろ」
ミルコ・デムーロとクリストフ・ルメールが3月1日からJRA騎手としてレースに騎乗する。
すでに騎手の勢力図に大きな変化が起きていることは、多くの著名馬の両外国人騎手への乗り替わりが続々と発表されていることでお分かりの通り。「社台のお抱えジョッキー」といわれている2人だけに、社台系の馬はオーナーサイドからの要求がほとんどなのかと思いきや、チューリップ賞で和田→M・デムーロとなるロカの鞍上交代など、調教師自らが決断した例も少なくない。現場サイドの2人にかける期待も大きいということなのだろう。
もちろん、両騎手がJRA所属としてどう騎乗馬に味付けしていくのかは興味深いが、一方で猫もしゃくしもデムーロ、ルメールでは、ちょっと味気ないという気持ちもある。
「外国人騎手は確かにうまいけど、いい時に乗せているから勝っているという側面もある。日本の騎手だって、そういうタイミングで乗せていれば結果を出せるよ」と語るのは昆調教師だ。
開業以来、外国人騎手を乗せたのは、たった5回。それでいて、2006年以降ずっと年間20勝以上をクリアしてきた偉大なトレーナーの言葉だけに重みがある。
「日本人ジョッキーを育てなくていいのかって問題だってあるだろ。日本の競馬は日本人が馬を仕上げ、日本人が乗ってここまで歴史をつくってきたんだから、それを受け継いでいかないと。だいたい1000勝以上もしているジョッキーは、とてつもない技術を持っている。じゃなければ、そこまで勝てないよ」
デムーロ、ルメール旋風が巻き起こりそうなムードの中、昆調教師のような関係者がいることに、ちょっと安心感を覚えてしまう坂路野郎は古い人間なのか…。であったとしても、全国リーディングトレーナー部門3位と今年も好調の昆キュウ舎には、今後も“オールジャパン”の底力を見せていってほしいと思わずにはいられない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)