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戸崎騎手と軍団対決とデムーロ解除

  • 2015年02月26日(木) 12時00分
  • 63


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阪急杯のサンカルロ
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今年の阪急杯が土曜日(28日)に行われていたら、サンカルロは出席していただろうか。

サンカルロを管理していた大久保洋厩舎は2月28日(土曜日)で引退で、阪急杯は3月1日だから今年は大久保洋厩舎としては出走できない。ならば、年齢も年齢だし(8歳)、暮れの阪神Cで引退させようか…そんな流れだったとしてもおかしくない。

阪神1400ホースとして、その名を刻んだサンカルロだけど、その成績を見るといかにサンカルロが阪神1400で食っていたかがよくわかる。
逆に言えば阪神1400が得意ならば、長く食べていけるということでもある。

サンカルロ
全成績 6-4-6-33
芝成績 6-4-6-32
ダ成績 0-0-0-1

芝1200 0-2-1-11
芝1400 4-2-2-11
芝1600 2-0-2-9
芝1800 0-0-1-1
ダ1400 0-0-0-1

芝16で2勝しているけれど、これは新馬とニュージーランドTであげた3歳春までの成績。3着2回もひいらぎ賞とジュニアCでのものだから、3歳秋以後は一度も1600で馬券圏内に入れなかったことになる。もっといえばNHKマイルで8着→18着に降着して以後、一度も3着以内に入れず、0-0-0-9の成績だった。

芝12の2着2回は高松宮記念、3着1回はスプリンターズSであげたものだから、1400ホースではあったけれど、どちらかといえば1200よりだったのかもしれない。

得意の1400も阪神限定、それも阪神C&阪急杯限定だった。
阪神1400 3-2-2-4
京都1400 0-0-0-3
東京1400 1-0-0-4

東京の1着はクロッカスSだから、これまた3歳初頭のレース。その後の4着以下4回はすべて京王杯SCで、10着、9着、10着、11着と惨敗だった。
京都の4着以下3回はもちろんスワンSでのもので、4着、8着、8着で東京ほどではないけど、いい成績ではなかった。

阪神C 2-1-0-3
阪急杯 1-1-2-1

同世代対決の終わる3歳夏以後の成績は3-4-3-31だから、ほんとうに阪神1400重賞が重要だったことがわかる。
阪神1400で稼ぎ、高松宮やスプリンターズSでときどき頑張る。
そんな競走生活だった。

阪神Cは暮に行われ、阪急杯は2月末か3月頭に行われるから、稼ぎ時は実質2ヶ月。
実に効率がいい。
でも、そんな阪神1400ホースのサンカルロでも、阪神C→阪急杯を年をまたいで連覇したことは一度もなかった。

09年度(3歳-4歳)
(着順のいいほうに◯表示、着順が悪い方も馬券になっていれば△)
阪神C11人気2着 ◯
阪急杯 7人気3着 △

10年度(4歳-5歳)
阪神C 7人気6着
阪急杯 4人気1着 ◯

11年度(5歳-6歳)
阪神C 4人気1着 ◯
阪急杯 1人気3着 △

12年度(6歳-7歳)
阪神C 3人気1着 ◯
阪急杯 3人気4着

13年度(7歳-8歳)
阪神C 6人気4着
阪急杯 8人気2着 ◯

14年度(8歳)
阪神C 7人気13着

阪神Cは開催最終週、阪急杯は開催初週に行われるから、着順に差が出て当然だ。開幕が得意な馬もいれば、最終が得意な馬もいる。サンカルロの場合は差し脚質だから、最終週に強いかと思いきや、先着した比率は、阪神C(最終週):阪急杯(開幕週)=3:2とほぼ互角だった。

サンカルロは高いレベルで阪神1400にマッチした馬だったけれど、それでも連覇できなかったことは面白いし、最終週でも差しが活きない場合もあれば、開幕週でも差しが決まる場合もあったというのも面白い。

つまり、サンカルロな馬を探せれば、できれば4歳馬から探せれば、向こう4年くらいの阪神C・阪急杯のアプローチは相当楽ちんになるというわけだ。

今年の出走予定馬にサンカルロな馬はいるかな?

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レッドオーヴァルの戸崎
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レッドオーヴァルは安田隆厩舎の馬で、鞍上は戸崎のようだ。
この馬には戸崎は初騎乗。

ふつうに考えると、阪急杯と高松宮記念のセットで依頼したのではないか? そう読める(ハクサンムーンには高松宮では騎乗しないと想定)。
去年も、阪急杯(3着)と高松宮(14着)に川田が連続騎乗したからだ。

ただてっきり騎乗経験のあるMデムーロやルメールが騎乗すると思っていた。しかしMデムーロやルメールは別の馬に騎乗する。

Mデムーロ ダイワマッジョーレ
ルメール  オリービン 

阪急杯と高松宮のセットでの依頼ができなかったのかもしれない。

ちなみにダイワマッジョーレは芝1200経験がなく、オリービンは芝1200・0-0-0-2で、少なくともこの2頭が高松宮を狙っているとは思いにくい。Mデムーロとルメールは高松宮では別の馬に騎乗か(もちろん連続騎乗してきたら、要注意だけど…)。

安田隆厩舎と戸崎と言えば、最近はサトノフラムやエイムハイといった3歳馬でのコンビが思い浮かぶ。

サトノフラム 4戦中3回戸崎で1-0-0-2
エイムハイ  3戦全て戸崎で 1-1-1-0

そのエイムハイが前日のアーリントンCにCデムーロで出走する。
全戦騎乗中の戸崎をアーリントンには呼ばず、日曜日にテン乗りのレッドオーヴァルで呼ぶ。
クンクンクン……この事象だけでなんだか臭う。
ついでに中山記念ではステファノスにも騎乗しようと思えば、騎乗できたはずだ。富士Sでは結果を残しているし、藤原英厩舎も大事な厩舎と思えるからだ。でもレッドオーヴァルに騎乗する。
クンクンクン……。

やっぱりここは2戦つづけての騎乗依頼と見て、いいのではないか?
だとすると、ヘンテコな仕上げのはずはない。騎手の好感度を上げるような、高松宮でもやれそうなイメージを抱かせるような、そんな仕上げではないか。

去年の阪急杯は3着だった。
高松宮は14着に惨敗した。しかしこれは苦手な不良馬場が敗因のはず。
その後、良馬場のスプリンターズSを3着したことからも、今年も高松宮を狙っているのは明らかだろう。

レッドオーヴァル
芝1200 1-2-1-2
芝1400 2-1-1-1
阪神1400 0-0-1-0

ムムム…もしかしたら、1400の方が得意か?
もう5歳だけど、サンカルロな資質のある1頭か?

レッドオーヴァルは芝1200重賞で馬券圏内に入ったことのある、3頭しかいないディープインパクト産駒の1頭で(他にシュプリームギフト・バーバラ)、唯一、G1(スプリンターズS)で3着した馬でもある。

狙いたいのはどうしたって、ディープインパクト産駒初の1200のG1レース制覇の勲章だろう。
1400ホースとして、食べて行くと決意するには覚悟や開き直りも必要なのだ。きっとそうだ。レッドオーヴァルも1400職人になるつもりはないだろう。でも、結果的に1400で勝ち負けが多い……そんな隠れサンカルロな馬の可能性もまだ否定できない。

重賞でレッドの馬(東京ホースレーシング)に戸崎が乗るのは、レッドリヴェールの桜花賞2着以来。クンクンクン。うむ、やっぱりこの乗り替りは興味深い。見た目よりたぎってる気もしないでもない。

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阪急杯注目馬
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レッドオーヴァル…ほんとうはサンカルロな馬なんじゃないか? ならばここでも勝ち負けできるはず。
去年の阪急杯は8-6-5 3着
去年のスプリンターズSは8-5-5 3着
ここぞというところでは攻めた騎乗をさせている。
賞金的に高松宮出走はギリギリか。ならばここでも攻める可能性大。

あとはダイワメジャー軍団とディープインパクト軍団をどうさばくかだろう。
去年の阪急杯あたりから、軍団対決が激しくなってきたからだ。

一応、阪神Cではディープインパクト産駒が、阪急杯ではダイワメジャー産駒が有利に見える。


2年前の阪急杯では、
3着 ダイワメジャー
5着 ディープインパクト
9着 ダイワメジャー

軍配は、ややダイワメジャー~!

2年前の阪神Cでは
1着 ディープインパクト
6着 ダイワメジャー
10着ダイワメジャー

ディープインパクト~!

去年の阪急杯では、
1着 ダイワメジャー
3着 ディープインパクト
5着 ダイワメジャー
9着 ディープインパクト
11着ダイワメジャー
12着ディープインパクト

ダイワメジャー~!

暮れの阪神Cでは、
1着 ディープインパクト
2着 ダイワメジャー
3着 ダイワメジャー
4着 ディープインパクト
6着 ダイワメジャー
7着 ディープインパクト

個人戦はディープインパクトだけど、団体戦では引き分け~!

うむ、開幕週のダイワメジャー、最終週のディープインパクトと大雑把には分けられそうだ。ミッキーアイルは開幕週のディープインパクトの可能性を否定できないけど…。

賞金的に出走可能なダイワメジャー産駒
オリービン ルメール
ダイワマッジョーレ Mデムーロ
コパノリチャード 武豊

賞金的に出走可能なディープインパクト産駒
ダノンシャーク 福永
ミッキーアイル 浜中
レッドオーヴァル 戸崎

逃げるかわからないけれど、レースを動かすのは1人気必至の武豊コパノリチャードだろう。
ならば、Mデムーロもルメールもレースを組み立てやすいのではないか?

というわけで、ややダイワメジャー軍団有利とみた。
そこにレッドオーヴァルが割って入れれば、サンカルロ!
そんな見立て。

本当はもっと4歳馬に接近したかったけれど、出走できそうなのがミッキーアイル以外ははっきりしないので、やめた。ミッキーアイルは陣営が「差す」とかコメントしているので、それがブラフなのか真実なのかよくわからない(レース前コメントは基本信じない派)。だからヒモで静観しておく。

一応4歳クラリティシチーはもし出走してきたら、ちょっと気にしたい。3歳春まで16、18中心に使われて、同世代対決のG3までは堅実に走っていて、秋になって古馬と闘うようになったら16での堅実さがなくなった。サンカルロ臭がしないでもない。もしかしたら、本当の距離適性は1400か? ただ単にデキが悪くて負けただけかもしれないけど、もし出走するようなら気にしておきたい。

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中山記念注目馬
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ロゴタイプ
Mデムーロの呪いをCデムーロで解除するシリーズ・最終章(14年10月9日とか11月20日のコラム参照で)。

中山金杯2着でほぼ解除できたと思っているけれど、完全解除はやっぱり1着だろう。
しかも根岸SでMデムーロの新たな呪文「ダートは走る」が解き放たれた。
で、結果は8着。
根岸Sレース後にCデムーロは「走り自体は悪くなかったです。瞬発力があるので芝の方がいいです」とコメントしていた。Mデムーロの呪文をCデムーロがすぐさまコメントで解除しようと試みた形だ。

Mデムーロの呪いをMデムーロ自身が解除するシーンをちょっぴり期待していたけれど、それは今後いくらでも見られるはず。逆にCデムーロはおそらくここが短期免許の最終日(延長しないと仮定)。もしかしたらロゴタイプに騎乗するのはこれが最後かもしれない。

だからCデムーロの騎乗っぷりに注目してみる。

イキのよさげな4歳馬がいっぱいいるけれど、中山1800だけは、ロゴタイプは譲れないのではないか?

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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