◆先日社台ファームへ行ったとき印象的だったのが全体的な仕上がりの速さ
3歳戦線はだいたい構図が見えてきた一方、2歳の取材はまだ始まっていない。
ただ先日、カレンチャンの初仔を見に社台ファームへ行ったときに“カレン”の鈴木隆司氏所有のゴールドアリュール×エンドレスビジネス(牡/安田)の調教も見せていただいた。その日がちょうどクラブ馬の動画撮影日だったので速いところを乗るクラブ馬たちの雄姿も見ることができたのだが、そこで印象的だったのが、全体的な仕上がりの速さである。
ひと昔前のPOGでは、NF空港→NF早来→社台Fの順に仕上がり早というイメージだったが、もはやその印象に捕らわれていてはだめだろう。社台Fの坂路は深くて力が要ることで有名だが、そこを16-17秒くらいで上がっている馬も3月はじめの段階で多い。馬によってはかなり余裕があり、すぐにさらなる時計圧縮が可能そうなものもいる。
もうひとつPOGに関係がありそうなのは、山元トレセンへの移動の早さだ。
社台RHの馬だけで11頭が、3月6日までに山元へ移動済み。グリーンファームからもこの世代の目玉であるヴィクトワールピサ×アーヴェイ(牝/松田国)が3月はじめに移動した。
社台RHの11頭にはヴィクトワールピサ×エアトゥーレ(牝/須貝)やローエングリン×ステレオタイプ(牡/田中剛)といった血統馬が含まれており、POG的にも無視できない。
早期に内地に移動する馬はそれだけ仕上がりが早いというアドバンテージもあるが、もうひとつ、媒体に取り上げられにくいのでドラフト人気が上がりにくいというメリット(?)もある。
POG取材は3月末から4月はじめが佳境となるが、その時点で北海道にいないと、写真が載らないことにもなり、原稿にも収録されづらくなる。POG媒体の人間にはどうしても「実際にこの目で見た馬を推したい」という欲求が生まれるものなので(それゆえ産地馬体検査で見た馬を推し過ぎて失敗したりもする)、人気では北海道組>内地組となりやすい。これがさらに勢い余って入厩までいくとトラックマンの網にかかるのだが、それはまた別の話である。
いずれにしても、早い馬が有利なのは事実。しかも最近は早期デビュー馬がそのままGIレベルまで行くことも多く、今年もココロノアイなどが7月デビューからクラシック有力馬になっている。赤本の取材時にはどれが早いかをつかむこと自体大変だが、このコーナーにおける続報などでカバーしていきたい。