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ディープを父に持つフェノーメノの4分の3妹マイスフォルテ

  • 2015年03月18日(水) 12時00分
カネトシエンジョイ(牡 栗東・荒川義之 父ゼンノロブロイ、母アドマイヤダンサー)
 母アドマイヤダンサーは現役時代、芝中距離で3勝を挙げた。アロンダイト(06年ジャパンCダート-GI)、クリソプレーズ(クリソライトの母)の全姉にあたる良血で、繁殖牝馬としてはこれまでに産んだ3頭からダンディーズムーン(父アドマイヤムーン/1000万下)を出している。「ゼンノロブロイ×エルコンドルパサー」の組み合わせからはラブフール(12年クイーンS-GIII・2着)、オメガスカイツリー(11年ユニコーンS-GIII・5着)、リアファル(3戦2勝)などが出ている。また、母方に入るRivermanは父とニックスで、トレイルブレイザー、ルルーシュ、アグネスワルツ、イチオクノホシ、ステラウインド、レーヴデトワールなど多くの活躍馬が出ている。前出のリアファルとは父が同じで母同士が全兄弟。すなわち同血の関係にある。ダートで本領を発揮するはずだ。

スリーシスターズ(牝 栗東・西園正都 父パイロ、母カトゥーンバ)
 3代母Life at the TopはマザーグースS(米G1)、レディーズH(米G1)など重賞を6勝した名牝。2代母Elizabeth Bayはエクリプス賞(仏G3)を勝ったほかコロネーションS(英G1)で2着。母カトゥーンバはBayeux(06年リヴァーシティH-米G3)の半妹にあたる。ポテンシャルの高い牝系に属しており、なおかつ代々掛けている種牡馬も優れているので、母は繁殖牝馬として成功している。初子のタマラマ(父Red Ransom)、2番子のワールンガ(父アドマイヤムーン)はいずれも準OPまで出世している。本馬の父はパイロ。1400m以下のダートを中心に活躍している種牡馬だ。Pulpit≒Elizabeth Bay 3×3は確実性が高く、2頭の兄と同じく上級クラスまで出世するのではないかと思われる。ダート1400m〜1600mがベスト。

ダノンポラリス(牡 美浦・藤沢和雄 父ハービンジャー、母グレイスティアラ)
 母グレイスティアラは全日本2歳優駿(GI)、兵庫チャンピオンシップ(GII)、エーデルワイス賞(GIII)などを勝ったダートの猛者。新潟2歳S(GIII)で4着となっているので必ずしもダート専用馬ではないが、その母ロイヤルティアラが「ノーザンテースト×ロイヤルスキー」というアメリカ血統で、その硬さがダート適性を高めたのだろう。父ハービンジャーは4歳夏のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)で後続に11馬身差をつけるコースレコードで圧勝した名馬。現3歳世代が初年度産駒で、ベルーフ(15年京成杯-GIII)、ロードフェリーチェ(15年シンザン記念-GIII・2着)、ロカ(15年クイーンC-GIII・3着)をはじめ現時点で27頭の勝ち馬を送り出している。「ハービンジャー×フジキセキ×ノーザンテースト」の組み合わせはトーセンバジル(15年弥生賞-GII・5着)と同じ。サンデーサイレンスとノーザンテーストを併せ持つハービンジャー産駒は確実性が高いので期待できる。芝向きの中距離タイプだろう。

マイスフォルテ(牝 美浦・戸田博文 父ディープインパクト、母ディラローシェ)
 天皇賞・春を連覇したフェノーメノの4分の3妹。父がステイゴールドからディープインパクトに替わった。母はフェノーメノ以外に活躍馬を出していないが、ディープインパクトはデインヒルと相性が良く、ミッキーアイル、エバーブロッサム、フィエロ、ラスヴェンチュラス、アデイインザライフなどの活躍馬を出している。2代母の父Averofはイギリスから南アフリカへ渡って成功した種牡馬。約10年前に南アフリカからアメリカへ移籍してG1を勝った名牝Crimson Palaceは「父Elliodor、2代母の父Averof」という血統で、Elliodorの父はLyphard、母EllidaはBustedの全妹。ディープインパクトの母ウインドインハーヘアはLyphardの息子Alzaoが父で、Bustedが母の父なのでElliodorに酷似している。本馬はディープインパクト産駒の配合としては過去にないパターンながら、Crimson Palaceの配合を考えると成功する可能性もあるのではないか。ここまで登録が遅れたように、仕上がりの早いタイプではないので必ずしもPOG向きとはいえないが、距離適性からオークスは合うと思われるので期待したい。

ラセレシオン(牝 美浦・藤沢和雄 父ゼンノロブロイ、母アルゼンチンスター)
 青葉賞(GII)を勝ち、天皇賞・秋(GI)で2着となったペルーサの全妹。母アルゼンチンスターの全姉Differentは、アルゼンチンでチャンピオンに輝き、アメリカ移籍後もG1を勝った。異系のアルゼンチン血統を多く含んだ母だけに、どんな配合が成功するのか予想しづらいところがあり、ペルーサのほかに5頭がデビューしているものの、準OPまで出世したパシャドーラ(父ハーツクライ)が目立つ程度で、これといった大物は出ていない。本馬は、ペルーサ以来初めて母にゼンノロブロイを交配して誕生した産駒。待望の配合だけに、ペルーサと同様の活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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