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「牝馬のマツパク式」走る子を出す母馬は顔で分かる/吉田竜作マル秘週報

  • 2015年03月18日(水) 18時00分


◆果たして重視すべきは体か、顔か…

 美浦には2歳世代が入キュウしたようだが、先週の当コラムで指摘したように、どうも産地馬体検査の出足は全体的に鈍いようで…。某調教師からは「もう役割を終えたんじゃないか」との声も。POGでは大きな役割を果たしてきただけに、なくなるのは寂しいが、果たしてどうなっていくのだろうか。

 気の早いPOG愛好家はそろそろ2歳馬の情報収集に取り掛かっているころ。今回はPOG戦略をちょっと違う切り口で紹介したい。

 ハープスターの引き運動を松田博調教師と見ていた時のこと。「胸前の筋肉といい、なんかすごい体になってきましたね」とトレーナーに話を振ると、ちょっと苦笑いしてこう言った。「こういうタイプは繁殖に入ってどうかなあ」。すでに引退後の心配までしていることにも驚いたが、もっと意外だったのは、この名牝ベガの血を引く桜花賞馬ハープスターの“母としての能力”に疑問を感じていること。その真意を聞いてみた。

「ベガは体に女性らしい丸みがあった。顔つきなんかもいかにも女の子という感じだったろ。ビワハイジ(ブエナビスタの母)も牝馬らしい、線の細い馬だったよな。ハープスターは体も顔つきも男の子みたいだからなあ。お母さんとしていい子を出すのは、もっと女らしい馬だと思う」

 そういえば、音無調教師も「大きな牝馬は案外いい子を出さない」と言っていた記憶がある。言われてみれば、大型の牝馬で自身の競走成績に並ぶような産駒を送り出した馬は多くないような…。ちなみに松田博調教師が例に挙げたベガは430〜440キロ台、ビワハイジは420〜450キロ台でレースに出走していた。先日、天に召されたオリエンタルアート(オルフェーヴルらの母)もデビュー時は446キロ。いずれも小〜中型に属する馬たちだ。

 長くPOGを続けていると、「指名した馬の子供」を指名するケースも出てくるが、その際には母の馬格を思い出してみてはどうか。小柄で見栄えもしなかった馬が案外ということもあるかもしれない。ただ改めて松田博調教師に話を聞くと「体じゃない」そうだ。「やっぱり顔だよ、顔。牝馬らしい顔をしているのが大事」。馬券同様、POGも記憶力のゲームということなのかも。

 さらに気の早い話になるが、先日初子を出産したスプリントGI2勝馬のカレンチャンが、現役時代の僚馬で12年のスプリンターズSではワンツーを果たしたロードカナロアを種付け相手に迎えたそうだ。両馬を担当し、隣同士の馬房で世話をしていた岩本助手も「いいですよねえ。夢がありますよ。どっちに似るのか。カナロアクンになるのかなあ」と早くもお父さん気分。安田調教師も「こちらにいたときから女の子らしい子でしたが、1頭産んでからは本当にいいお母さんになったようです。子供の面倒見もいいようで、ひと安心。まだ受胎の確認には時間がかかるでしょうが、楽しみですよね」。

 馬体こそ500キロを超すこともあったカレンチャンだが、顔つきは女の子そのものだった。果たして重視すべきは体か、顔か…。とにかく第2子の誕生が待ち遠しい。

 最後にスプリングSの話題も少々。関西の総大将リアルスティールは先週のウッド併せ馬でパッと見でそれとわかるほどのオーラを出していた。もちろん動きも絶品だ。「(共同通信杯勝ち後の)短期間ですごく良くなっている。小回りの中山で器用さもあるのか見てみたい」と手綱を取った福永も「待ち切れない」と言わんばかり。クラシック戦線で劣勢に立たされている関西勢にとって、最後の希望となるのがこの馬。器の違いを見せつける走りを期待したい。

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