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香港と名古屋の距離は近くなっているか。エアロヴェロシティの脈。

  • 2015年03月26日(木) 12時00分


2003年
ディスタービングザピース 4人気13着
エコーエディ       9人気17着

高松宮記念に外国馬が出走したのは上記03年の香港馬の2頭のみ。しかも惨敗だ。
オーストラリアと並んで、スプリント王国と言われる香港だけど、高松宮にはぜんぜん出走してない。
まあ理由は簡単だ。
ドバイワールドカップと重なる日程が高松宮を遠くに追いやっているのだろう。

1着賞金は高松宮記念9500万円に対して、ドバイのアルクォーツ・スプリントは約7200万円。高松宮の方が約2000万円も高い。けれど、ドバイは招待だ。輸送費用をすべて負担してくれる。これはデカイだろう。

しかし今年はエアロヴェロシティがやってくる。招待レースがあるのに自費で高松宮にやって来る。
輸送負担があっても、勝てる見込みがあるなら賞金9500万円は魅力的だろう。

香港の馬については、輝いて見える馬ほどナイガシロにしていいという伝統がある。
安田記念、スプリンターズSで何度も裏切られているからだ。
人気なら、消し。いや、穴人気でも消し。
これが香港馬に対するセオリーだろう。

でも、今年のエアロヴェロシティについては、たとえ輝いたとしても、ナイガシロにしにくいムードがある。
(結局、そう思わせるのが香港馬かもしれないけれど…)

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エアロヴェロシティをナイガシロにしにくい理由
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前記したように香港勢得意の直線1000のG1・アルクォーツ・スプリント(以下アルクォーツS)がドバイであるのに、エアロヴェロシティは高松宮に来る。
招待レースより、高額レースを選んだ。
これだけで、ナイガシロにしにくい。

以下は、賞金比較。

左・アルクォーツS 右・高松宮記念の賞金
1着 約7200万円 9500万円
2着 約2400万円 3800万円
3着 約1200万円 2400万円
4着  約600万円 1400万円
5着  約360万円  950万円

5着でも約600万の開きがある。
お金のためなら、もっと多くの馬が高松宮に出走してもいい。
けれどみんなドバイを選ぶ。
実際、今年も3頭の香港馬がアルクォーツSに出走予定だ。

招待とは、かくも魅力的か。
そりゃそうだろう。
勝てる可能性と負ける可能性を天秤に掛けて、負ける可能性の方が大きいとなれば、遠征=赤字の確率の方が高い。国際競走は相手関係もわからないし、そもそもアウェーでの闘いだ。負ける可能性の方が高くて当然だ。
輸送を負担してもらえることは、やっぱり大きいだろう。

だとしても、
去年、アルクォーツSを勝ったアンバースカイなんて、今年は高松宮に来ればいいじゃん! とも思う。
この馬は馬主が俳優サモ・ハン・キンポーでお馴染みだけど、サモ・ハンで盛り上がれるのはドバイより断然日本ではなかろうか。
日本の馬券売り上げを支えているであろう40代の競馬ファンの青春時代はジャッキー・チェンかユン・ピョウかサモ・ハン・キンポーかマイケル・ホイでしょう!(自分はブルース・リーも大好きだけど、コア世代は50代以上のはず)
てか、少なくとも自分はサモ・ハンでこのコラムを埋め尽くす自信がある!
しかし、今年もアンバースカイはドバイを選んだ。ジャッキーなら日本を選んだか?

つまり、ごくふつうに考えると、
エアロヴェロシティは負ける可能性よりも、勝てる可能性の方が高い!
とまでは言わずとも、
高松宮の方がドバイよりチャンスがあるから出走する! とは取れる。

ちなみに今回アルクォーツSに出走する香港馬3頭に比べて、エアロヴェロシティの方が香港の直近のレーティングでは上だ(国際レーティングではない)。エアロヴェロシティが出走表明すれば招待されていただろう。

とはいえ、リスクを背負って、高松宮にやって来るだけでは「買い」とは言えない。安田記念だって、スプリンターズSだって、同じようなもんだからだ。でも、同時期のドバイと天秤に掛けて、やって来ると言うのなら話は別だ。安田記念やスプリンターズSで期待を裏切った馬よりは、断然脈ありと言える。

では、エアロヴェロシティ陣営にとっての脈とは何か? 金銭面は無視してみる。

アルクォーツS 直線芝1000M
高松宮記念   角2の芝1200M

直線と角2。
1000と1200。
この違いか。

アルクォーツSに出走予定の香港馬は3頭(カッコ内の数字は香港レーティング)
ペニアフォビア(123) セン4歳 14年香港スプリント2着 15年センテナリースプリント1着(芝直線1000M)
アンバースカイ(122) セン6歳 14年当レース1着
バンドルオブジョイ(117) セン6歳 15年センテナリースプリント2着

参考文献
エアロヴェロシティ(124)

香港スプリント(芝1200)
1着 エアロヴェロシティ
2着 ペニアフォビア
3着 ストレイトガール

1000Mの適性では、エアロヴェロシティよりもペニアフォビアの方が高そうなことが過去歴からわかる。
エアロヴェロシティは本格化前に1度だけ、芝1000Mに出走し10着に負けて以後、一度も芝1000Mを走ってない。しかしアルクォーツSに出走する香港馬はみな芝1000Mで好成績を残している馬ばかりで、その代表格が香港の芝1000Mの前哨戦的レース・センテナリースプリント(香港G1)を制したペニアフォビアではないか。

エアロヴェロシティにとっては、芝のしかも直線の1000Mでは香港馬相手でもキツイという判断かもしれない。
(もし去年までAW1200だったゴールデンシャヒーンがダート1200に変更にならなければ、そちらに出走したかもしれない)。

ドバイにはチャンスレースがない。ならばリスクはあっても、芝1200の高松宮に出走した方がいい。そんな脈か。

こう考えると、なんだかシブシブ高松宮みたいに思えてくる。
シブシブ来て勝てるほど甘くないぞ! エロヴェロ!
でも、たとえシブシブでも、リスクを背負って出走してくるのには変わりない。

怖いのは主戦のパートンが騎乗することか?

なんてたってパートンは、新しい中京競馬場を知っている。
(去年の夏に短期免許で来日したときの主戦場は中京だった)
これは大きいのではないか?

踵のケガとやらで、2週間しか滞在しなかったけれど、成績は抜群だった。

6-0-4-10
勝率.300 連対率.300 複勝率.500
芝 4-0-4-5
ダ 2-0-0-5

大事なのは馬場の感触であって、勝ち星の数ではない。でも勝っているのに越したことはない。中京で勝つイメージを持っているパートンがなんらかの助言を与えているとしたら………そして、チャンスがあると思うからパートン自身も騎乗するとしたら………うむ、なかなかの脈だ。

ちなみにドバイのゴールデンシャヒーンには、前走パートン騎乗で1着したスーパージョッキーという馬が出走の予定だ。前走騎乗して1着してるのだから、こちらに脈があると思えば乗れたはずだ。
パートンに替わって鞍上はムーアになった。それなりのチャンスホースでなければムーアには頼みにくいし、ムーアも騎乗しないはず。それはムーアと日本の馬との関係からも十分わかっているつもりだ。
パートンにどこまで選択権があるのかは、わからない。ただムーアに頼める馬には乗らず、エアロヴェロシティには乗る。その事実は認識して置きたい。

エアロヴェロシティの香港スプリントのレースぶりを改めて見た。
人気馬の宿命とはいえ、スタートから終始オーストラリアのバッファリングに張り付かれる展開は決して楽ではなかったはず。
それを振り切っての1着は弱い馬にできる芸当ではないだろう。張り付いたバッファリングは6着に敗れて、追撃したストレイトガールは3着だった。

前走のチェアマンズスプリントプライズ(香港G1)芝1200でのエアロヴェロシティは内の2番手で、終始、逃げた馬に外から被せられるような苦しい展開だった。けれど、直線に向いてもしぶとく脚を伸ばし、0.01秒差(アタマ半分差くらい)で2着した。逃げた馬は11着に惨敗した。

先行して、圧倒するようなレースぶりではないけれど、苦しい展開で逃げても、なかなかバテない強さを持ったスプリンターに見える。今年の高松宮は逃げ先行を得意とする速い馬が多いけれど、むしろやりあっての消耗戦になったら、しぶとさを発揮するように思える。

1分8秒台の決着になりそうな中京の馬場
速い流れはむしろ歓迎っぽい馬の資質
中京経験のある騎手
予想1人気のストレイトガールとの比較

やっぱり脈があるから出走してきたように思えてならない。

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高松宮記念注目馬
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エアロヴェロシティ
ストレイトガール
レッドオーヴァル

中京競馬場のコース改修で、香港のシャティン競馬場との距離が近くなっているならば、
香港スプリントで1着・3着だったエアロヴェロシティとストレイトガールが、ここでも好走するはず。

その臭いは、改修後、香港スプリント5着→高松宮1着のカレンチャンや、香港スプリント1着→高松宮1着のロードカナロアの成績から、ほんの少し感じられる。

え? カレンチャンとロードカナロアが特別な馬だっただけじゃないかって?

ならば、今年はそれを香港のエアロヴェロシティに確かめてもらおう。

レッドオーヴァルは、阪急杯のコラムで、阪急杯と高松宮をセットで戸崎に頼んでいるはずで、興味深いと書いた。重賞でレッドの馬に戸崎が騎乗するのはレッドリヴェールの桜花賞2着以来で実に興味深いとも書いた。阪急杯ではダメだったけれど、そもそも狙いは高松宮なはずで、やっぱり実に興味深い。

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毎日杯&日経賞
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毎日杯 アルバートドック
日経賞 タマモベストプレイ

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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