国枝厩舎アチーヴが高松宮記念の大穴?/トレセン発秘話
◆人気薄のGI制覇こそ
“2強対決”として注目を集めた22日のGIIスプリングSは、5番人気の伏兵キタサンブラックがスローペースを利してまんまと押し切り勝ち。2着リアルスティールには本気度マックスではない“花相撲”といった印象が残ったが、当方が気になったのは3着ダノンプラチナの坂上での失速だった。
あれは果たして距離の壁か? その核心に迫ろうと、週明けの美浦で国枝厩舎の大仲へさっそく進撃。「いや〜ダメでしたね。ひょっとして山村さんのデス・コラム(当欄)に載せました?」などという新婚ボケ(椎本英男助手)のたわ言は一切無視。すかさずチーフ格・佐藤勝美助手に振り返ってもらった。
「折り合いもついて競馬は合格。でも最後は伸び切れなかったな。距離? いや、敗因を突き詰めれば自分たちが甘かったということだろう。テンションを上げないことをまず重視。トライアル止まりの過去(カミノタサハラ)があり、先を見る意識も強く、仕上げは七分くらい。それでも何とかなるかと思ったが…。やっぱり勝ちにいくなら、昨年暮れくらいしっかりやらないとダメ。それが分かったことを糧として、次に巻き返したい」
振り返れば朝日杯FS時は、重い馬場の中で意欲的な併せ馬を行い破格時計をマーク。単走で上がり重点だった今回とは、確かに馬の追い込み方がまるで違った。思えばステップレースを全敗した末、牝馬3冠を制したアパパネという先輩もいる。“負けどころ”が分かっている(?)厩舎が、本気になるのは次(皐月賞)、もしくはその次(ダービーorNHKマイルC)だろうか…。いずれにせよ、陣営のギアチェンジの見極めが担当記者にも問われてくる。
さて、シビアな見解に対するフォローでなく、今週のGI高松宮記念は同じ国枝厩舎のショウナンアチーヴを穴に一考したい。こちらは一昨年の朝日杯FS2着馬。NHKマイルC6着も優勝馬ミッキーアイルとわずか0秒1差の接戦だった。「体調ひと息だった昨夏とは体つきも変わってきたし、いい雰囲気」と前出・佐藤助手は復調をアピール。ブラックホーク、ピンクカメオにマツリダゴッホ…。本来、人気薄のGI制覇こそ“お家芸”の厩舎でもある。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)