先週のコラムでご報告したとおり、ただいまドバイに来ております。海外遠征は何度となく行っていますが、ドバイは初めてなので渡航前は心配しっぱなしで。不安のかたまりだったのですが…。来てしまえば、暖かいし、花粉は飛んでいないし、治安はいいし。ホント快適です。そして遠征に来ている馬たちも陣営もひじょうにイイかんじなのがビンビン伝わってきます。とりあえず、レース前々日までの段階ではすごくいい雰囲気です。来てよかったと思っています。
ハープスターは牡馬顔負け、かなり意欲的に乗り込んでいます。追い切りの前日もしっかりと負荷のかかるダートコースを長めに周回していました。いつもどおりといえばいつもどおりですが、このダートコース、追い切り時計を見てのとおり速い時計は出ますが、かなりしっかりと負荷がかかります。メイダンのダートコースに実際に騎乗した遠征スタッフによれば「日本のポリトラックと似ているかんじ。時計は出るけど、息の入りはポリより遅いように負荷はしっかりかかっている」とのことでした。そして、このダートを手で握るとしっかりかたまる。でも、人間が歩く分には歩きやすいとか。うーん、難解ですね。
ハープスターと松田博師
そんな状況でもこれだけ乗りこなせているのだから、ほんとタフですよね!カイバも相変わらずしっかり食べているそうで、見るからに元気そう。ほんと、何よりです。松田博師も「しっかり食べて動ける。それならいいさ」と笑顔で話していました。まぁ、大丈夫でしょう。京都記念は太め残りも敗因のひとつでしょうが「坂のくだりを気にするんじゃないか」と松田博師は分析していました。栗東の坂路コースでも下り坂でうるさい面を見せますしね。その点、フラットなコース形態であるメイダンは彼女にも合うはずです。ほんと、楽しみ。
ハープと同じくドバイシーマクラシックに出走するワンアンドオンリー。橋口弘師が感慨深げに調教を見守る姿が印象的でした。息子さんである橋口慎師が帯同し、人馬ともに親子での参戦。「かつてハーツクライが勝ったドバイに、今回は私も息子と一緒にきました」とひじょうに穏やかな表情で話していました。
橋口師
松田博師も橋口弘師も、調教師としてはこれが最後のドバイ参戦。おふたりともまだまだお元気なだけに、もったないですね…。仕方ないことでしょうが、かなり残念です。
最後に。取材していて日の丸の温かさを感じさせられるのはホッコータルマエ陣営。西浦師は“日本人騎手騎乗の日本調教馬で勝つことの意味”をひじょうに重要視しています。幸騎手もその爽やかな笑顔の裏にはその責務を重々感じているのでしょう。そんな幸騎手に西浦師はあえて「人馬ともにリラックスして楽しんで欲しい」と言葉をかけます。初めてジャパンCを制した西浦“騎手”だからこそ言える台詞。いいですね。聞いていてジンときました。
西浦師の「日本人騎手でドバイを」という期待を背負う幸騎手
レースまであと2日、昨年ホッコータルマエは疝痛ですぐに帰国できなかったですし。とにかく、日本関係馬を含めた全頭が無事完走し自国へ帰れることを祈ります。