3月17日大井「東京シティ盃」。伏兵ブラウンシャトレーが圧倒的な強さで勝った。日刊競馬紙上、ノーマークにしてしまった不肖記者などには“目からウロコ”が本音だろうか。道中インの4番手を持ったまま。直線あと1ハロン、先に抜け出したハタノアドニスをほんのひと気合で捕えてみせた。素晴らしい瞬発力。1400m1分24秒6。昨年ハタノアドニス優勝が1分25秒2(当時1390m)だから、流れは厳しく上がりも速い。それを終始首をのびやかに使うフォームで切り抜け、まだフィニッシュに余裕がある。驚いた。この馬にそれほどのスピードと切れを、まったくイメージできなかった。想像力の欠如…確かにそうだが、やはりブラウンシャトレー自身、おそらく今日は生涯最高のレースをしている。
東京シティ盃(サラ3歳上 別定 南関東G3 1400m良)
(1)ブラウンシャトレー (58・張田) 1分24秒6
◎(2)ハタノアドニス (58・内田博) 2
○(3)トーシンブリザード (58・石崎隆) 11/2
(4)クールアイバー (58・桑島) 4
(5)エイシンダンズビル (58・繁田) 1
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△(7)アマートベンハー (56・的場文)
△(8)エビスファイター (56・柏木)
▲(10)ナイスキングオー (56・早田)
△(13)スターエルドラード (58・鷹見)
単2480円 馬複1520円 馬単6080円
3連複1740円 3連単20140円
ブラウンシャトレーはご存じ東海のスターホース。名古屋、笠松をメインに、JRA、南関東含め[9-9-10-26]の戦積で、同地区ゴールドプルーフとともに統一ダートG、常に大きな役割を背負ってきた。ただすでにキャリア54戦の7歳馬。さきたま杯、かきつばた賞、統一G1400mそれぞれ3着はあるものの、どこか勝ち切れない、勝負運が薄い、ジリ脚のイメージの方が強かった。「勝因はまず好枠(16頭2番枠)。好位で脚がタメられたぶん、最後も鋭く伸びてくれた」(張田騎手)。「さまざまな条件を走ってきた馬だが、適性は短距離にあるのかな」(岡林調教師)。このレースだけを基準にすれば、“復活”というより“前進”だろう。父ナグルスキーなら元より晩成。次走4月8日大井「マイルグランプリ」も、枠順と流れしだいで脈が出る。
ハタノアドニスは、勝ち馬と同等、あるいはそれ以上の手応えで4コーナーを回り、しかし追ってから案外だった。相手の快走はもちろんだが、1400mはベストより1F長く、自身のデキも快進撃の昨秋には今一歩か。しばらく放牧休養。6月「北海道スプリントS」あたりをステップに、再び東京盃→JBCスプリント、秋の短距離路線をめざすようだ。トーシンブリザードは道中ブラウンシャトレーの少し後ろ、絶好の位置を手応えよく回ったが、いざ競り合いになって伸びを欠いた。前を捕える、抜かれたら抜き返す、そんなファイティングスピリットが長いブランクで喪失してしまったということだろう。アマートベンハーは本質的にもう少し距離がほしい。逃げて失速ナイスキングオーは結果的に、ここでは役者不足だった。逆に転入スターエルドラードは、この日大敗ながら馬体のよさが目についた。父ダンチヒ、慣れてくればダートも十分こなせるはず。2走目に注目したい。
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ダイオライト記念(3月24日船橋 サラ4歳上別定 統一G2 2400m)
◎ミツアキタービン (56・東川)
○ジーナフォンテン (54・張田)
▲レマーズガール (54・武豊)
△カネツフルーヴ (56・松永幹)
△イングランディーレ (56・蛯名)
△ペルフェット (56・横山典)
△シュイベモア (56・今野)
ミツアキタービンは前走フェブラリーS4着。王者アドマイヤドンにわずか1馬身差で渡り合った。それも直線あと1ハロン、いったん先頭を奪いあわや金星かという濃密な内容。昨秋盛岡ダービーグランプリ、ユートピア、ビッグウルフの3着。しかし以後JBCクラシック、平安Sなど厳しいレースを経験し、すでに世代?1をうかがうまでに成長している。3走前、地元笠松・東海ゴールドカップ2500mを圧勝。ライブリマウント×スイフトスワローの背景からも長丁場の不安はない。飛ばすカネツフルーヴの離れた2番手で折り合えば理想的。ここは上昇度を素直に買いたい。
そのカネツフルーヴは昨年同レースレコード勝ち。ただ当時は前後に川崎記念、オグリキャップ記念と制した最も勢いに満ちている時期で、しかもダイオライト自体は道悪の8頭立て、数字ほどの中身は疑問だ。昨年エンプレス杯の覇者、今回無欲で末脚勝負に賭けそうなジーナフォンテン、近況でこれを凌ぐレマーズガール、牝馬2頭が妙味とみる。日経賞、ダイヤモンドS、さらにブリーダーズGCを勝ったイングランディーレも生粋のステイヤーだが、昨暮れ2戦人気を裏切り、状態がひと息微妙か。リージェントブラフ(ドバイ挑戦)回避で繰り上がったペルフェットが穴。実績は少し足りないが、デビューから一環中~長距離ダート路線。左回り、時計のかかるダートに適性をイメージできる。