▲ハブアストロールと、森下淳平厩舎のスタッフの皆さん
地方競馬を担う若きトレーナーが管理
2012年7月の札幌競馬場でデビューを果たしたハブアストロール。初勝利まで7戦を要しましたが、中央成績8戦の中で掲示板を外したのはわずか1度だけで、大崩れなく走ってきました。
翌年、南関東のクラシックレースに向けて、大井競馬場の新進気鋭・森下淳平厩舎へ移籍。
南関東クラシック一冠目・羽田盃はスタートでダッシュがつかずに後方から進めて、最後は脚を伸ばしてくるも7着。「(最初の印象は)未完成ですが、奥がありそうな馬だなぁと思いました。左トモの股関節に弱い面もあったので、調教を積んでレースを使う中で反動も出てきて、羽田盃でゲートがよくなかったのも苦しかったんだと思います」(森下調教師)
クラシック二冠目・東京ダービーに出走する賞金は持っていましたが、あえてそこには向かわず、同開催の特別戦に出走。ダービーに出走するとなれば、調教でもレースでもこの時点では無理をさせることになり、それが尾を引く可能性もあると判断したことから路線を切り替えたそうです。
東京ダービーは南関東勢にとって3歳最高の舞台で、出走できる賞金があればほとんどの関係者が出走させたいと思うのはごく自然なことだと思いますが、あえて出走させず、それ以降も馬に合わせながらじっくりゆっくりと育てられていきました。
昨年秋に行われた古馬重賞の勝島王冠(大井1800m)はそうそうたる豪華メンバーが集結。同厩のハッピースプリントが断然の1番人気に推されていて、ハブアストロールは格上挑戦でしたが適距離ということもあっての参戦でした。
左海誠二騎手が手綱を取り、びちゃびちゃの不良馬場の中、後方2番手から追走していき、4コーナーを回ったところでも11番手付近でしたが、直線で大外から豪快に差し切って、記念すべき重賞初制覇を飾りました(11番人気で単勝12,800円)。
▲重賞初制覇となった勝島王冠、左海誠二騎手も喜びのポーズ
▲直前にゴロゴロと寝転がってチップまみれのハブアストロール、奥がハッピースプリント、(写真には映っていないが)その前には東京ダービー馬プレティオラスもいる豪華な空間
「今厩舎でやっているのは、中央馬と戦っていくためのトレーニング方法です。地方競馬のダートだけで仕上げていくには条件がついてくるし簡単なことではありませんが、止まっていては何も始まりませんから。距離を乗ったからといっても疲労がたまるだけなので、ある程度の距離でいかに体を使わせて負荷をかけさせるか……。
そういうメニューを課せられる調教スタッフの技術も身についてきて、もちろんもっとレベルアップをしていかなくてはいけないんですが、ハブはそれを特に取り組んできた仔だったので結果につながったことは本当にうれしかったです。ただ、こんなに早い時期に結果を出してくれるとは思いませんでした」(森下調教師)
その後のハブアストロールは勝島王冠での激走で目に見えない疲労もあったため、放牧休養に出て、現在は帰厩。4月7日のブリリアントカップ(大井2000m)から5月20日の大井記念(大井2000m)を予定しているそうです。
「今のハブはやりたいことをしっかり課せられるようになってタフになってきました。休養はオーナーの山口ステーブルさんで過ごしていますが、いつもいい体になって帰ってきてくれるし、牧場と厩舎のいい循環もできていると思います。
これからどういうレースを勝ちたいというよりは、ハブのパフォーマンスを出せるところまで成長させて、本来持っている能力を引き出せるようにしてあげたいです。自ずと結果はついてくると思うので……」(森下調教師)
なお、5月5日にはかしわ記念(船橋1600m)が行われますが、森下厩舎の二冠馬ハッピースプリントがスタンバイ中です。地方競馬の未来に向けて大きな存在でもあり、ぜひご注目頂きたいと思います!
▲いつもはポーカーフェイスの森下調教師なので頑張って笑ってもらいました(笑)
森下調教師は冷静沈着でポーカーフェイスのイメージは強いのですが、競馬のお話しは何時間あっても足りないくらいにいつも熱くお話しをしてくださいます。これからの地方競馬を担う若きトレーナーの一人としても、非常に頼もしいです!
なお、森下厩舎では調教スタッフを随時募集しているそうですよ。詳しいことは森下厩舎の公式ブログ
http://ameblo.jp/team-morishita/entry-11948475848.htmlをご覧くださいね。