山吹賞でグレーターロンドンがクラシックの新星となる/トレセン発秘話
◆時計より着差
アジアエクスプレスにとって7か月半ぶりの復帰戦となった26日の交流GIII名古屋大賞典(ダ1900メートル)。単オッズ1.5倍が示すように、この相手に斤量55キロなら必勝と思えたが…。結果は半馬身届かずの2着。勝ったメイショウコロンボの鞍上・武幸四郎の巧みなペース配分も光ったが、ダートでも素材はGI級と見る当方にとっては正直物足りなく映った。
レース後に美浦で「敗因は距離?」と矢嶋大樹助手に問うと「いや、久々(骨折明け)の分でしょうね」とサバサバ。個人的には態勢万全と見ていただけに、その返答をスンナリ受け入れられずにいたが「休み明けはいつもノンビリした雰囲気。一度使って目つきがガラッと変わる馬ですよ。3着は9馬身負かしてるんだし、まあ、今回は良しとしましょう」。確かに前走オープン勝ち(総武S)のフィールザスマートを問題にしなかった走りを思えば、次(18日のGIIIアンタレスSが有力)につながる内容ではあろう。
一方、週明けの美浦で同じく着差を話題にしたのが、28日中京の3歳500万・大寒桜賞(芝2200メートル)をタンタアレグリアで制した国枝栄調教師だった。
「同じ日の古馬1000万(名鉄杯)より勝ち時計(2分14秒9)が3秒以上速いからな。こりゃ次のGII青葉賞もいけるかって一瞬ウハウハしたんだけど…。見たらペースがまるで違うんだな。5着までが0秒3差って接戦だし、ぬか喜びってすぐに気がついたよ」
時計以上に着差のほうが力量を示すというのは、ある意味で真理である。
さて、その意味でも今週注目しているのが、今週土曜(4日)中山の3歳500万・山吹賞(芝外2200メートル)に登録のあるグレーターロンドン。芝8ハロンの初陣は5ハロン通過63秒3の超スロー。着差がつきにくい流れでの2馬身半差と、文句なしの完勝だった。
「確かに見た目は鮮やかだったね。でも相手が弱かったという可能性もある」と大竹正博調教師はまだ半信半疑の口ぶり。それでも「除外続きで出走したが、マイルは本質的に忙しい。本来、長丁場向きと思っているし、血統や走法からおそらく渋い馬場も問題ないよ」と大竹師。母は桜花賞2着ロンドンブリッジ、姉はオークス馬ダイワエルシエーロ。ベストの舞台で着差をさらに広げるようなら、同厩ルージュバックに続くクラシックの注目株となるはずだ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)