◆社台ファームの今年の話題は良血馬の千葉サラブレッドセール大量上場
本年度の2歳馬取材が本格化してきた。既に育成牧場を取材した人々の原稿も手元に届きつつある。
私自身は赤本で牧場ページは書かない身だが、社台ファームとノーザンファーム(早来・空港)にお邪魔してきた。社台ファームの今年の話題は、良血馬の千葉サラブレッドセール大量上場。なんといってもダービー馬の弟で父がディープインパクトとなる母ムーンレディが登場するのだから、POG以外の取材も増えそうだ。まだリザーブ価格は決まっていないそうだが、最終的に1億超えの落札になるのではと注目される。
千葉サラブレッドセールは5月15日開催予定。他馬も含めてドラフト前に結果をチェックしておきたい。
ノーザンファームで印象的だったのは、移動時期・デビュー時期の仕分けが例年よりしっかりしていること。早くに行ける馬が積極的に乗り込まれている一方、時間をかけたほうがよいと思われる馬は腹を据えてじっくり進められている。血統だけでは世代一、二を争うような馬の中にも「じっくり組」に入っている馬はいる。
競走生活というのはPOG期間だけではないので、じっくりやるべき馬はじっくりやるほうが正当。あとは外ウマに乗る我々がどう対応するかだ。赤本では村本浩平がノーザンの原稿を担当しているが、遅い馬は思い切って原稿から割愛しているようだ。割愛するということは「この馬は良い馬なんだけどPOG期間向きじゃないので外しました」ということもアナウンスされないことになる。下手をするとなにかあったのではと勘ぐられたりするケースもありそうだが、そうではなくて、POG期間を踏まえた峻別の問題なのだと考えていただきたい。
さて、POG取材の一種のハイライトといえば産地馬体検査である。今年は4月14日に浦河、15日静内、16・17日早来で行われるが、受検頭数がだいぶ減ってきた。北海道戦でも直接入厩が可能になったことに加え、内地の前線基地が増えてスゴロクの駒の進み方が以前とは変わったためだと思う。
いま手元に来ているリストだと、浦河91頭、静内157頭、早来初日(牡馬主体)114頭、早来2日目(牝馬主体)80頭。早来は全盛期の半分になっているはず。減り始めた時期には「終わってからマルトマ食堂(苫小牧・14時閉店)行けるな」などと言っていたものだが、「終わってすぐマルトマ行ったら昼飯時で混んどるで」くらいの話になってきた。
このぶんだと、来年あたりは赤本のサンチバページも減らすことになるだろう。寂しい面もあるが、サンチバで見てうっかりほれ込んで失敗というケースも正直多いので、コンテンツとしての影響は小さいと思う。
話題になりそうな受検予定馬を何頭か挙げておこう。母マイヴィヴィアン(牝/父ダイワメジャー・勢司)はメイショウサムソンの半妹。吉井理人さんが馬主で、馬名はフォーシーム。
静内ではショウナンアデラの全弟になる母オールウェイズウィリング(牡/父ディープインパクト・手塚)や、コパノリッキーの半妹にあたる母コパノニキータ(牝/父ヴァーミリアン・尾形充)が受検予定。
早来は良血馬を挙げるときりがないが、母ビワハイジ(牡/父ディープインパクト・角居)、母キューティゴールド(牡/父ネオユニヴァース・久保田)、母ダイワスカーレット(牝/父キングカメハメハ・松田国)といったところはファンの関心が高そうだ。