湿りがちな阪神の空、パワーのいる馬場…ドンキがお得!!/トレセン発秘話
◆梅田調教師「雨が降って他が苦にするようならウチのは歓迎」
ルージュバックを筆頭とした無敗馬に注目が集まっている第75回桜花賞(12日=阪神芝外1600メートル)だが、桜冠へのステップに目を向ければ、過去10年で6勝(2着3回、3着4回)と圧倒的な戦績を残しているチューリップ賞の解析は避けて通れない。この難題に挑んだのは「僕はドン・キホーテ記者にはなりません」と力強く宣言した高岡功記者だ。おなじみ「トレセン発(秘)話」拡大版で、雨中の重馬場決戦となった最重要トライアルの真実に迫った。馬場悪化で泣く馬、笑う馬…その見極めこそが、牝馬クラシック第1弾の勝者と敗者を分かつ最大のポイントになる。
高松宮記念(3月29日=中京芝1200メートル)に、大阪杯(4月5日=阪神芝内2000メートル)。悪化した馬場の適性、コース取りで明暗が分かれたレースが2週続いた。そして今週もまた1週間を通して傘マークがついたり、つかなかったりの微妙な天気予報になっている(先週の土曜阪神などは雨予報ながら、実際には晴れたので、アテにならないといえばアテにならないが…)。
仮に力を要する馬場になれば、ハイレベルの中でしのぎを削る今年の場合、馬場適性が明暗を分かつ最大のカギにもなりうるだろう。
「今の阪神はただでさえ力がいる馬場。雨の影響がちょっとでもあれば、かなりタフになるでしょうね」と語るのはアンドリエッテに騎乗する川田だ。
前走のチューリップ賞では重馬場の中で最速上がり(35秒7)を駆使して2着と力を見せたが、「ディープ(インパクト)産駒ですし、きれいな跳びをする馬なので、切れ味を生かせる良馬場の方が絶対にいい」。それだけに今週の微妙な予報については「その手の話を聞くだけで正直、面白くないですね(笑い)」(川田)。
裏を返せば、コンテッサトゥーレ(6着)やクルミナル(11着)など、他のディープ産駒が道悪で苦しんだ中、2着に健闘したのだから「それこそがアンドリエッテが持っている能力の高さ」(川田)の証明にもなるのだが…。
逆に「雨が降って他が苦にするようならウチのは歓迎」と断言するのはレッツゴードンキを管理する梅田調教師だ。
雨中のチューリップ賞は3着に失速したようにも見えなくはないが、かかり気味に先頭に立ち、目標にされ、伸びない馬場の内を通る一連の流れの中では、上々の“試走”と捉えるべきなのだろう。
「もともと砂血統(母マルトクは現役時ダート短距離で5勝)。ダートに使ってもめちゃくちゃ走るんじゃないかって思えるくらい馬力がある。レース当日にまた雨が降ったとしても、まったく気にならないな」
もともと牝馬はオークスよりも桜花賞に比重を置く馬の方が多いとはいえ、レッツゴードンキの場合は「短距離寄りの血統なのもあって、オークスはまったく考えていない。オークスに使うぐらいならNHKマイルCに行くよ」と梅田師が公言するくらい、桜花賞に思いっきり重点を置いた調整を続けてきた。まさにここが正真正銘の“メイチ勝負”どころなのだ。
2月いっぱいで父親の梅田康雄調教師が定年で引退。本紙をはじめとする新聞の表記が「梅田智調教師」から「梅田調教師」に変わった時、「これからは親父の分まで、梅田厩舎として2倍頑張るわ」と話していた梅田(智之)調教師。
父が管理していたマルトクの子、しかも父の代から縁の深い清水牧場の生産馬(1991、92年のマイルCS連覇をはじめ重賞7勝の活躍をしたダイタクヘリオスが該当)で、桜花賞を制することができれば、それこそ2倍どころか3倍、4倍以上に「梅田厩舎」として頑張ったことになる。
そうなれば、もちろん坂路野郎も読者の方々に“マルトク情報”をお届けできたことになるが、果たして当日の天気、そして結果はいかに!?
(栗東の坂路野郎・高岡功)