「王道」ココロノアイが「覇道」ルージュバックを倒す/トレセン発秘話
◆「付け入る隙があるとすれば…」
7日発行の当欄で高岡記者が現在の阪神の馬場の特性について検証していたが、今年の桜花賞、斜に構えたい気持ちは宴会野郎にもよく分かる。スペシャル感を与えるのは言わずもがな、きさらぎ賞Vから直行で挑むルージュバックだ。3戦3勝の重賞V馬は今年3頭も存在するが、あくまで異色ローテで挑むこの馬は別格扱い。この事実がルージュバックのスケール感を雄弁に物語っているのだろう。
だが、競馬における不敗は怖さと隣り合わせでもある。実戦で示す不安要素を日頃の調教で塗り潰していくのが競馬における唯一の勝利の方程式であり、課題がないのと課題が見えないのは別物。ブライトエンブレムが朝日杯FS(2番人気)で7着に敗れた後、管理する小島茂之調教師は「阪神の外回りならマイルも忙しくないと思ったが…」と敗因を口にしたが、同じく距離経験のないルージュバックも適性はフタを開けるまで分かるまい。まあ、こうして高配当を夢想しヨダレを流すのが、穴党の悲しきサガかもしれないが…。
「誰が見てもルージュバックは現時点で一歩抜けた存在。ただ、付け入る隙があるとすれば、向こうが変則ローテで来ること。こちらは阪神マイルを3戦続けて使えるわけだし、王道路線を歩むことは少なからずアドバンテージになると思う」
以前、こう語ったのはココロノアイを送り出す尾関知人調教師。確かに今年の桜花賞は王道VS覇道の一大決戦だ。本来、主役になるべきGIIIチューリップ賞の優勝馬が脇役扱いなのだから、不当評価に反発したい気持ちも理解できる。
「今年は(関東の)桜花賞出走馬の栗東滞在が少なくて当初は馬も寂しがったが、徐々に環境に慣れてカイバも食べているから大丈夫。1週前はウッドチップでしっかり負荷もかけられた。ジョッキー(横山典)も手の内に入れているから、いい状態で送り出すだけ」と尾関師。
関西GIにおける関東馬の栗東滞在、これもいわばひとつの勝利の方程式。むろん同馬を応援するのは、1週前にイタリアンを師からゴチになったせいではないことを強調しておく。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)