◆松元厩舎の吉田貴昭助手「あの神対応ですからね。めっちゃいい人だなって、より大好きになりました」 憧れていた人に、いざ会ってみたら幻滅した。よくある話だ。しかし、武豊に関してはそんな話が一切出てこない。そればかりか、会ってみてより熱心なファンになったという人ばかりだ。
松元厩舎の吉田貴昭助手の父親は日本ダービー(1982年バンブーアトラス)を史上最年少厩務員として勝ったことで知られる吉田政弘厩務員。物心ついたころから「自然にこの世界で働くもの」と思っていた吉田助手にとって、小さいころからのヒーローはもちろん武豊。憧れを抱きながらこの世界に入り、いざ本人と接する機会に恵まれたところ、やはり「大好きになった」という。
2年前、鞍上・武豊で担当馬を出走させたことがあったのだが、馬がレース前からイレ込み、馬場入り時に大暴れ。鞍上の武豊を振り落としてしまった。
「(馬が)頭を大きく上げた時にユタカさんの鼻を強打。ひん曲がってしまうんじゃないかというぐらいの衝撃でした」
武豊は翌日、人気馬で臨む大事なGIを控えていた。「やってしまった…」。そんな思いを抱えながら恐る恐るゲート裏まで行って、謝ったところ、武豊からこんな言葉が返ってきたという。「ちょっと元気が良過ぎたね(笑い)」
「普通なら“なんなんだ、この馬は”って怒られてもおかしくないのに、あの神対応ですからね。めっちゃいい人だなって、より大好きになりました」
そんな吉田助手が武豊とのタッグでフローラSに送り込むマキシマムドパリに力が入らないわけがない。

マキシマムドパリ (C)netkeiba.com
「ユタカさんは毎回レース後、“いつも何か1頭いるよね”って。強い相手に何度もいいレースをしているんです。体が減っているのはちょっと気になりますけど、稽古の動きはいいし、距離が延びるのも間違いなくプラス。なんとかオークスに出したいですね」
出られるかどうか分からない1勝馬(現時点で16分の14の抽選)に合わせて東上するというのだから、武豊本人もそれだけ手応えを感じているのだろう。マキシマムドパリには、ぜひともオークスの出走権を確保してほしいものである。
(栗東の坂路野郎・高岡功)