▲3戦無敗のアルビアーノと共に夢のGIを目指す柴山雄一
重賞初挑戦となったフラワーC(GIII)で、スピードの違いを見せつけ、終始先頭でレースを進めて後続を寄せ付けなかったアルビアーノ。これで3戦全勝。牝馬同士の桜花賞に向かわずに、牡馬相手となるNHKマイルC(GI・芝1600m)に駒を進めてきた。デビュー戦からすべての手綱を取っている柴山雄一騎手も、今年既に27勝を挙げ、全国リーディングでも9位と好調だ(2015年5月7日現在)。アルビアーノの強さの秘密、レースの見通しなどを、柴山騎手に語ってもらった。(取材・文・写真:佐々木祥恵)
◆本当に思い通りの競馬ができた
デビューは年明けの1月15日、中山の芝1600mの新馬戦だった。
「確か1度新馬戦を除外されたのですが、その時のジョッキーは僕ではなかったんです。でも除外された時の騎手が空いていなくて、デビュー戦は僕に回ってきました」
柴山はアルビアーノとコンビを組んだいきさつをこう語る。「運が良かった」と柴山は謙遜するが、ここのところの活躍と努力がその運を引き寄せたと言っても良いだろう。
「ムキムキした筋肉質の僕の好きなタイプの馬で、本当に女の子なのかなと思いました」、新馬戦のパドックを周回するアルビアーノを初めて目にした時の、柴山の感想だ。
「跨った時、雰囲気があって良いなと感じました。落ち着きがありましたし、返し馬では真面目過ぎるくらいに真面目に走ります。ただ馬体を見ただけなら、ダートの短いところかなと。返し馬の時の走りにも、まだ硬さもありましたし、ダートの方が良さそうな感じでした」
パドック、返し馬と落ち着きはあったが、レース中はさすがに少し物見をしていた。
「でもその物見でちょうどハミが抜けて、リラックスして走れたと思います。最後は少し追うだけで、後ろを離してくれましたし強かったですね。初戦ということもあって、まだ突っ張って走るところもありましたけど、スピードはかなりありましたし、返し馬とは走りが変わりました」
2番手から途中で先頭に立ち、直線であっさり後続を突き放しての勝利だった。
▲新馬戦時のアルビアーノ、後続を3馬身半突き放しての勝利(撮影:下野雄規)
2戦目は東京競馬場に舞台を替え、距離は1400mに短縮されたが、ここでもスピードの違いを見せつける。
「ゲートの出はさほど良くなかったのですが、二の脚が速くて初戦より2戦目の方が自らスッと出ていきました。行く馬がいないので、押し出される形でハナに立ちました。このレースで初めて腰にステッキを入れて、直線でしっかりと追ったのですが、尻尾を振ったりして嫌々をする牝馬らしいところも見せていました」
柴山騎手の鞭が入るたびに盛んに尾を振りながらも、なお余裕の走りで2着以下を完封する強い内容だった。
デビューから2戦、全く危なげないレースで連勝を重ね、迎えた3戦目は初めての重賞となるフラワーC。中山競馬場に再び舞台を移し、距離は前走から400m延長され1800mとなっていた。
不安材料がないわけではなかったが、