(つづき)
今は、あえて順位を見ないように
「JRAリーディングは、もちろん獲りたいですよ。その勲章が欲しいです。でも、獲れないということは、自分に足りないものがあるということ。だから、毎年そこまでたどり着けないんです」
園田から移籍して以降、常に上しか見ていなかった岩田が、ここ数年は“ボチボチモード”に突入。その変化について、こんな心情を吐露した。
「ずーっとそこ(JRAリーディング)を目指してきたんですけど、やっぱりしんどかったんですよね。ずっとそればかり考えていて、順位なんかなかったらいいのにって思ってしまうときがあったり。順位や勝ち星を気にしすぎて、レース自体がアカンようになったりしましたから…。
だから今は、あえて順位を見ないようにしています。逆にそれがいい方向にいってくれるんじゃないかと。今は焦りはないですし、乗せていただけるだけでありがたい。そのなかで結果を出すのが自分の仕事なので、もっと勝たなければいけないんですけどね」
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▲「結果を出すのが自分の仕事、もっと勝たなければいけない」
“ボチボチモード”の岩田にとっても、さすがにミルコ・デムーロ、クリストフ・ルメールの存在は刺激になっているかと思いきや、「もちろん、今まで以上に結果を出さなければ、とは思いますけど…」と、これについてもトーンはあくまで控え目だ。
「短期免許で来ていた頃から、あの二人はずーっといるもんやと思っていたから。そういう感覚でいたので、改めてJRAのジョッキーになったといっても、何かが変わったという感じはないんですよね。何よりあの二人、ある意味、すでに日本人ですもん(笑)」
人との比較でモチベーションを上げていた時期を過ぎ、常に自分自身と向き合い、そして戦っている──それが今の岩田康誠なのだろう。
「ボチボチとは言っても、レースにいけば絶対に負けたくないし、馬の能力を引き出して最高のパフォーマンスを見せたいという欲求は常にあります。あとはやっぱり、GIを2つ3つと勝ちたいですね。大きいレースを勝つことは、そのまま自信につながりますから」
先週のヴィクトリアマイルこそ人気を裏切る結果となったが、チャンスがまだまだ続くあたり、トップジョッキーならではだ。今週はいよいよオークス。圧巻の逃走劇から約1カ月半、舞台は東京の2400mに替わるが、はたして現時点ではどんなレースを思い描いているのか。
「また逃げるかもしれないし、逃げないかもしれない(笑)。というのも、本来どんな競馬でもできる馬ですからね。課題はやっぱり折り合いですが、初めて乗ったアルテミスSのころに比べるとイライラもだいぶ解消されてきましたし、馬体を数字以上に大きく見せて、中身がしっかりしてきました。チューリップ賞からはスタートも良くなって、今は調教でも返し馬でも、本当に落ち着いています」
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▲「また逃げるかもしれないし、逃げないかもしれない(笑)」
桜花賞後は、NHKマイルCとオークスの両にらみが報道されたレッツゴードンキ。梅田師いわく「適性はマイル」とのことだが、はたして岩田の感触はいかほどか。
「この時期の3歳牝馬なら、みんな多少は(距離に)不安があるんじゃないですか? だから本当に“やってみなければわからない”というのが正直なところです。確かに折り合いは課題ですけど、レッツゴードンキは“ふぃ〜”っと物見しながら走ってくれるので(笑)。ガーッとなることなく、その物見が折り合いにつながってくれれば」
ルージュバックの巻き返しを筆頭に、ライバルたちも虎視眈々。岩田も当然、その動向が気になるようで、