▲“二冠への切符”を手に、レッツゴードンキとオークスに挑む岩田康誠
圧巻の逃走劇から1カ月半。たった一枚しかない“二冠への切符”を手に、レッツゴードンキがオークスに挑む。はたして自在性に富む桜の女王は、東京2400mというタフな舞台でどんなパフォーマンスを見せるのか。そのカギを握っているのは、オークス連覇がかかる岩田康誠。逃走劇の舞台裏を振り返りつつ、今感じているパートナーの成長と強味、そして二冠奪取への手応えを語った。(取材・文:不破由妃子)
結果的には指示と真逆のレースに
「(スタート直後)横を見たら、みんな引っ張りまくっていて。『えっ? 俺?』みたいな感じでしたね(笑)」
1000m通過62秒5。まさにしてやったりの競馬だった。第75回桜花賞。後続はなす術もなく、直線は岩田&レッツゴードンキの独壇場となったわけだが、逃げ馬に33秒5の上がりを使われては、それもまたむべなるかな。阪神コースに外回りが新設されて以降は、以前のような“魔の桜花賞ペース”こそなくなったとはいえ、そこはマイルのGIである。前半1000m通過タイムが60秒を超えたことは一度もなく、ましてや62秒台とは…。
「当日の3Rでも逃げたんですよ(ノミネーション4着)。未勝利戦だったんですけど、それより遅かったですからね(3Rの前半1000m通過は61秒3)。逃げることになったときには“アーッ!”っていう感じでしたが、3コーナーではそれが“よし!”に変わりました。GIですからね、“こんなペースでいいんかな?”と思いつつ、自分が楽をしているのがわかっているぶん、これは差せないだろうと思ったし、直線では絶対に伸びるという確信もありましたからね」
▲最後は岩田&レッツゴードンキの独壇場、まさにしてやったりの競馬だった
直線で後続を突き放すこと4馬身。大外から7番人気クルミナル、最内から8番人気コンテッサトゥーレが脚を伸ばしたが、すべては後の祭り。2番人気ココロノアイは10着、単勝1.6倍の大本命ルージュバックも見せ場すら作れず、9着に沈んだ。
今回の勝利を「ビックリ」と振り返る岩田。が、思えば3コーナーからとはいえ、デビュー以来初めてとなる逃げを打ったのが、前走のチューリップ賞。最後の最後に甘くなり、ココロノアイとアンドリエッテにつかまったが、少なからず本番への布石という意味合いがあったのではないか。
「いえ、そうじゃないんです。