4月6日浦和「桜花賞」。直線あと1ハロンで様相が一転した。マイペースの逃げとみえたビービーバーニングの脚いろがにわかに鈍り、かわって2番手追走のクラマサライデンがいったん先頭。しかし間髪を入れず、後続が内外からどっと押しよせてきた。勝ったのは7番人気カネマサヴィーナス。道中中団よりやや後ろで脚をタメ、最後の最後に素晴らしい切れをみせた。父ヒシアリダー。北海道[2-1-0-6]で昨秋転入、川崎2勝をあげたもののキャリアすでに14戦。正直フレッシュな魅力には乏しかった。心身両面の逞しさ、そして経験がひとまず勝因。それでも1600m1分42秒5。南関3歳牝馬レベルとするとまずまずで、すべてが恵まれたとも言い切れない。
桜花賞(サラ3歳牝馬 定量 南関東G1 1600m梢重)
△(1)カネマサヴィーナス (54・左海)1分42秒5
△(2)ラヴリーズン (54・金子)1/2
(3)クラメガミ (54・張田)1/2
△(4)クラマサライデン (54・森下)クビ
▲(5)アイチャンルック (54・内田博)2.1/2
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◎(9)ビービーバーニング (54・甲斐)
○(10)ブルーロバリー (54・今野)
単3580円 馬複13190円 馬単60140円
3連複54760円 3連単570920円
ともあれ、ビービーバーニングがここまで負ける状況なら、何が勝っても不思議なかった。1000m通過62.1秒はむしろ先行馬ペース。早めに出たクラマサライデン、勝ち馬より一歩先に動いたラヴリーズン、クラメガミ。終わってみればカネマサヴィーナスは、これらを格好の目標にノンプレッシャーで追い込んだ。いうところの勝負のアヤ。あえて優劣をつけるなら、キャリア4戦目、前半厳しい中団で我慢がきき、あと100mでいったん先頭に立ったラヴリーズンの内容が濃いだろう。父アラジ。遅いデビューながら2連勝。前走TR・ユングフラウ賞3着で駆け込みの出走権をつかんでいた。
バーニングの失速。「またがったときからあまり感触がよくなかった。向正面あたりでもう手応えが怪しくなって…。疲れがあるかもしれません」と甲斐騎手。ただしパドックなど、イメージ通りハリのある馬体で、前走京浜盃ほどテンションの高さも感じなかった。わからない、わからないが、結果がそうだから、少なくとも心身両面で微妙な狂いがあるのだろう。いずれにせよ、三冠目「関東オークス」はJRA交流、同馬が万全でないと南関勢は望みが薄い。この後、北海道・門別へいったん放牧に出す予定。夢の続きは秋以降に持ち越しとなるか。素質、潜在能力は、間違いなく名牝に届くと思うのだが。
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4月8日大井「マイルグランプリ」。1~3番人気の決着ながら、3連単は万馬券に近い配当だった。再三書いてきたことだが、この馬券はハマればやはり相当の破壊力がある。「流し」がいいか、「ボックス」が正解か。記者は少し前当欄で、前者をしつこいほどオススメしたが、今回の場合、後者にはっきり分があった。臨機応変。それにしても3連複=540円、3連単=9110円は恐るべき落差がある。個人的には3連複という馬券、改めてパンチ力に欠けると思う。本命を買えばヒヤヒヤし、穴を狙えばレース観戦そのものが散漫になってしまう。コンナモノイラナイ…。まあよけいなお世話か。
マイルグランプリ(サラ3歳上別定 南関東G1 1600m梢重)
○(1)ブラウンシャトレー (57・張田)1分39秒7
▲(2)トーシンブリザード (57・山田信)1
◎(3)コアレスハンター (57・内田博)ハナ
△(4)クールアイバー (57・森下)4
△(5)ナイキゲルマン (57・的場文)1/2
単670円 馬複2380円 馬単5010円
3連複540円 3連単9110円
ともあれブラウンシャトレーは、前走東京シティ盃同様の完勝だった。13頭立て10番枠、やや外に回されたものの、好スタートから素早く3~4番手をキープし絶好の手応え。意表を突いて逃げたトーシンブリザードを、直線ほんのひと気合で捕えている。東海出身の7歳馬、華やかなイメージこそないが、タフさ、しぶとさで一貫統一ロードを賑わしてきた歴戦の雄。昨秋船橋転厩、岡林調教師=張田騎手とのコンビも当たり、いま文字通り“旬”を迎えた。ナグルスキー×ゲイメセン、大跳びの走法。取りたてて短~マイル向きとも思えないが、現実にこの路線で結果が出ている。次走は5月26日船橋「かしわ記念」。JRA一線マイラーにどこまで太刀打ちできるか。今回1分39秒7からは少し心もとないが、とにかく今季素晴らしくデキがいい。
トーシンブリザードは、初騎乗・山田信Jが腹をくくった先行策。現状を考えると結果オーライの2着だが、本来の実力、フォームとははっきり遠い。「稽古で体重が重い自分が乗ったり、いろいろ試してはいるんです。それでも心拍数が全盛時より少し多いし、なかなか胸が張れるところまで戻ってこない」(佐藤賢調教師)。3歳時無傷の4冠、そしてフェブラリーS2着。惚れた弱みはともかく、こと予想、馬券に限れば、そろそろ見直しが必要なのかもしれない。コアレスハンターは、短期放牧明けでマイナス10キロ。しかし細い印象はなく、レース間隔があいたぶん反応が鈍かっただけと判断できる。同斤、この相手で3着は物足りないが、最後1Fはしっかり伸びた。04年も統一G主役の1頭として期待できる。4歳ナイキゲルマンはスローを見越して動いたが、最後逆に末を失くした。的場文Jでこの結果は、現状力不足というしかないか。以下も何やら平穏すぎるレースで終了。続く統一Gを思うと、正直暗雲がたちこめる。
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マリーンC(4月14日船橋 サラ3歳上牝馬別定 1600m)
◎ベルモントビーチ (54・酒井)
○レマーズガール (56・武豊)
▲グラッブユアハート (55・安藤勝)
△ブルーマドンナ (54・左海)
△レンドフェリーチェ (54・蛯名)
△ホウザングラマー (54・的場文)
△スウィートダンス (54・内田博)
新星ベルモントビーチをあえて狙った。この2月、JRA3勝、1000万から川崎へトレードされた6歳馬。短距離中心に使われ、成績からは近況やや手詰まりともみえたが、どうして特別→準重賞と圧倒的な2連勝。がっしり骨太のアジュディケーティング産駒で、地方ダート、まさしく水を得たということだろう。前走川崎2000m2分10秒4なら、エンプレス杯=2100mレマーズガール16秒7と、少なくとも数字上は見劣らない。今回3キロの斤量差。ひと雨きて高速馬場ならさらにプラスアルファがイメージできる。
レマーズガールはすでに統一G・4勝。ごく普通には逆らう手もないが、船橋コースに限ると、昨秋クイーン賞3着、前走ダイオライト記念5着。道中すんなり行き脚がつかず、なにやらフィーリングが合っていない。むしろ安藤勝己騎手とコンビ2度目グラッブユアハートに、今回分がいい一戦かもしれない。ブルーマドンナ、ホウザングラマーは、絶対スピード、競馬センスの点で勝負づけが終わっており、あくまで混戦待ちだろう。生涯初ダートになるレンドフェリーチェは、昨秋紫苑Sの勝ちっぷりなどインパクトが強いが、ひとまず新たな可能性を探る戦い。前走船橋転入初戦をアイディンワンダー相手に逃げ切ったスウィートダンスは、再度道悪が条件。JRA3勝馬ながら1200m以上の経験がなく、本質スプリンターの見方が普通だ。