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うらたび2015

  • 2015年05月20日(水) 18時00分
うらたび2015

絵笛駅近くにて撮影するうらたび2015の参加者一行


こういう地道な取り組みが、日高という地域の理解者と、再訪者を少しずつ増やして行くことにつながれば何より

 浦河町で去る5月1日より31日までの一ヶ月間、町内の「美しい景観」7か所に手作りスタンプハウスが設置されている。スタンプハウスの中には手作りスタンプとオリジナル絵葉書が入っており、ハウスの扉部分にある料金箱にコイン(200円)を投じて自分で絵葉書を取りだす仕組みだ。それぞれの都合に合わせてゆっくりと巡回しながら、浦河の何気ない風景を楽しむことができ、オリジナル絵葉書も作れる、というのがこの「うらたび」である。つまり「風景を巡るスタンプラリー」なのである。

スタンプハウスの内部

スタンプハウスの内部



 今年の7か所は、JR絵笛駅や優駿さくらロード、オロマップ展望台、JRA日高育成牧場など牧場風景や海岸近く、あるいは市街地を一望できる場所などバラエティに富んだ場所を選定した。先週16日(土)、17日(日)の二日間は、このスタンプハウスを巡る「カメラ女子旅」がハウスを設置している「うらかわスタンプハウスのある風景の会」主催で実施され、札幌方面から18人の写真愛好家の女性たちが来町した。

 一泊二日でそれぞれ自前のカメラを持ち、参加するこのバスツアーには、デザイナーで写真家の渡邊真弓さんが講師として帯同。今回は7か所のうち6か所を巡りながら、訪れた先々で、風景や草花、馬などの被写体にカメラを向け、それぞれ作品作りに精を出した。

葉書を取り出す参加者

葉書を取り出す風景



 新さっぽろ駅を午前7時45分に出発し、最初のポイントであるJR絵笛駅に一行が到着したのは午前10時40分頃。あいにく濃い霧がかかり、肌寒い気候だったが、さっそく18人は思い思いのアングルでカメラを四方八方に向けながら熱心にシャッターを押していた。

 このJR絵笛駅は、日高本線浦河駅のひとつ隣(西側)に位置する無人駅だが、周囲を生産牧場に囲まれたロケーションで知られ、近年は「秘境駅」としても注目されるようになっている。緑一色の中にホームがあり、小さな待合室だけでそのほかは何もない風景だが、それがかえってシンプルで良いという鉄道ファンも少なくないのだそうだ。

 その後、次のポイントである「ぱんぱかぱん」へと向かった。ここは浦河町内の海岸近くにある手作りのパン屋さんで、店のすぐ前の砂浜の上にハウスが設置されている。ここで一行は昼食(パン)を受け取り、3番目のポイントになっている浦河市街地を見下ろす高台の「ルピナスの丘」に移動。そこで昼食タイムとなった。あいにくこの時点でも海岸近くは濃い霧に覆われ、やや肌寒い天候のままだったが、ここでちょっとしたサプライズがあった。浦河町のご当地キャラである「うららん」(かわたんというのもいる)が急きょ、カメラ女子旅ご一行のために来てくれたのであった。

うららんと記念撮影

うららんと記念撮影



 幸い、霧のかかっていたのは海岸近くだけだったようで、午後になると、オロマップ展望台も、JRA日高育成牧場も、優駿桜ロードも良く晴れ、絶好の写真日和になった。土曜日6番目の最終ポイントである優駿さくらロードは、優駿ビレッジアエルに繋養されているウイニングチケットが、わざわざご一行のために厩舎から連れてこられ、桜並木(もう散ってしまっていたが)をバックに記念撮影に応じてくれる一コマもあった。

 土曜日はそのままアエルに宿泊し、夜は渡邊講師による星空撮影会が行われた。また翌日曜日は、JRA日高育成牧場にお邪魔し、ホームブレッド馬と間近で対面し撮影する便宜も図って頂いたという。

ウイニングチケットと記念撮影

ウイニングチケットと記念撮影



 こうしてさまざまな人々、団体のバックアップ、協力により、充実した2日間の旅となったのであった。

 このカメラ女子旅は人気が高く、今回のツアーは募集開始後、すぐに満口となったという。来る7月初旬にもう一度実施する予定だが、スタンプハウスは冒頭でふれたように今月一杯で一度撤去され、次回のツアー時には、またその時限定の設置となる。

 こういう地道な取り組みが、日高という地域の理解者と、再訪者を少しずつ増やして行くことにつながれば何よりである。

 もちろん、これが即、競馬ファンの底辺拡大に直結するとは思わないが、まずはこの地に足を運んでもらい、滞在してもらうことから全てが始まるような気がする。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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