また今年もダービーウィークがやってきました。年を重ねるごとにダービーにも慣れるかな?と思いきや、全然慣れませんね。やっぱりこの週独自の緊張感というか、このダービーに向けて時間を過ごしてきた、という到達感というか、はたまた陣営によっては“やり尽くした”という達成感というか。そんな喜怒哀楽を普段以上に感じる特別な週なのです。
でも、みんながみんな、そうではないんです。今年は松田博師が最後の日本ダービー挑戦ということで世間は盛り上がっていますけど。松田博先生はどうなのかなぁ?まぁ、もちろんダービーなんでGIの中でも指折り数える名レースへの参戦ということで内心思う気持ちはあるのでしょうが。特別、ダービーだから!という圧迫感のようなものは伝わってこないんです。むしろ、いつも以上に平常心というか。ほんと、いつも松田先生が言うところの「いつもどおり」なんです。
送り出すレーヴミストラルについても、一貫して「来年、もっとよくなる馬」という姿勢を崩さない。あくまでも、来年を見据えた上の“いま”なんですよね。共同会見ではダービーへの思い入れを聞かれて「わたしにとっては騎手時代から中山大障害」と話されていましたが、ホント先生らしいというか(笑)。今週もいつもどおり飄々としていらして。特にダービーらしい会話もせず終い(笑)。ま、こんなもんかもしれません。
松田博厩舎最後のダービー挑戦となるレーヴミストラル
逆に、松田博厩舎最後のダービー挑戦とあって、周囲の盛り上がりはすごい!そっちのほうがすごい!!川田騎手は記者会見で何度も「松田先生、松田厩舎最後のダービー挑戦なので…」と繰り返していました。見ていて、ホントこれまでの恩と義理人情を強く感じました。ああいう川田騎手の姿勢を見ると、なんとか松田先生が最後のダービーをとれたら!と強く思ってしまいます。担当の大當助手もイイ感じに緊張感に包まれていましたし。馬のほうはトモもだいぶしっかりしてきて、まだ成長途上とはいえ、だいぶ風格が出てきましたよ。
結構長いあいだ放牧に出ていましたし、一時はダービーに間に合うのかな?と思いましたが。きっちりトライアルで権利をとって本番への切符を手にするあたりは「血統的背景も大きい」ということなのでしょう。
昨年はサングレアルでトライアル、本番と2回も東京競馬場へ輸送。これがかなり堪えたようで力を出し切れませんでした。それもあって、今回のレーヴミストラルの調整は「あれ以上にやる必要はない」と比較的軽めの調整となりました。へんに強めの調整をしてしまったら、きっと松田先生のこと、逆に悔いが残る調整になったはずです。とにかく、悔いのない状態で参戦するのがいちばん大事。
レーヴの顔を見てきたら、とにかく元気そう。どの陣営も必ず「何よりも当日まで無事に」と言いますが、それはレーヴも同じですね。来年の今頃はもう松田博資厩舎はありません。でも、きっと今過ごしているこの時間を思い出すことでしょう。
いまこの瞬間が、ダービーを終えてさらに思い出深い時間になりますように。