4月21日大井「羽田盃」。出世レース・京浜盃を6馬身差圧勝、04年クラシックの揺るぎない“核”とみられたベルモントストームが、股関節故障で戦線離脱。それなら…の位置にいたタッチザゴールも、右前球節不安で春シーズンの休養が明言された。正直なところ、昨暮れ抱いていた04年ハイレベルの夢は、にわかに吹き飛んでしまっている。ナマオという連勝馬がいた。ミチシオもデビュー4連勝は掛け値なしに強かった。さらに牝馬ビービーバーニングの思わぬ失速…。しかしまあ、競馬とはそんな“長期予報”が、常々空転するものでもある。主役不在。が、こと馬券的にはそれゆえの楽しみも逆に大きいと納得したい。
羽田盃(サラ3歳 定量 南関東G1 1800m)
◎ステルスライン (56・桑島)
○トミケンウイナー (56・左海)
▲キョウエイプライド (56・的場文)
△モエレトレジャー (56・金子)
△ミチシオ (56・戸崎)
△カネマサデューク (56・佐藤隆)
△バックオフゴー (56・早田)
ステルスラインは京浜盃2着。なるほど勝ち馬は別格だったが、4コーナー10番手から上がり37.3秒、馬群をこじあけて強烈な脚を使った。父ホリスキーの大型馬。一進一退を繰り返しながら、ここで旬を迎えた印象。乱戦クラシックとみればその勢いとパワーを素直に買いたい。かつてプレザント、ヒノデラスタで東京ダービーを制した桑島騎手。能力紙一重とされる戦いで、最後の最後、ベテランらしい勝負強さをみせてきた。
トミケンウイナーは京浜盃を正攻法の3着。総合能力、完成度の比較でごく普通にチャンスだろう。ただスケールの点でやや物足りず、仮にここを勝っても、続く東京ダービー、さらにJDダービーとなると現時点で強気に推せない。まとまりすぎている…そんな懸念。前走しらさぎ賞圧勝でリズムをつかんだモエレトレジャー、同じく雲取賞で勝ちパターンを確定させたキョウエイプライド。この2頭は、どちらを単穴にしようか、正直迷う。ミチシオも好きな馬だが、前走大敗からの巻き返しはクラシックで例が少ない。以下、大きく出遅れた京浜盃を4着まで追い込んだカネマサデューク、転入初戦しらさぎ賞を急仕上げで2着したバックオフゴー。とりわけ後者は上山→岩手5戦4勝。厚みのある好馬体が目立っている。
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4月14日船橋「マリーンC」。新星ベルモントビーチが素晴らしい瞬発力で快勝した。好枠スウィートダンスが1000m通過62.7秒のマイペースで逃げ、グラッブユアハート、レンドフェリーチェが直後を追走。3~4コーナー、武豊・レマーズガールが外から一気に動いたが、ベルモントビーチ・酒井忍は5番手のインでダンマリを決め込んだ。直線も内ラチ沿いの経済コース。あと1F、ステッキに応え一気に前を捕えている。統一G初挑戦。むろん楽なレースではありえないが、水を得た地方ダートで完全燃焼。競走馬とはやはり、環境と人で大きく変わる。
マリーンC(サラ3歳上牝馬 別定 統一G3 1600m良)
◎(1)ベルモントビーチ (54・酒井)1分40秒8
○(2)レマーズガール (56・武豊)1
▲(3)グラッブユアハート (54・安藤勝)1/2
△(4)ブルーマドンナ (54・左海)1.1/2
△(5)ホウザングラマー (54・的場文)1.1/2
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△(8)レンドフェリーチェ (54・蛯名)
△(12)スウィートダンス (54・内田博)
単720円 馬複1360円 馬単4100円
3連複520円 3連単6280円
ベルモントビーチはJRA・1000万から川崎転入。おおむね短距離志向、近況やや頭打ちのトレードだったが、どうしてB級→牝馬準重賞をあっさり連勝。とりわけ2000mを不安視された前走がズバ抜けて強かった。父アジュディケーティング、ガッシリ骨太の好馬体。鞍上の意のままに動くという印象で、道中スムーズに折り合い、GOサインとともに真一文字に伸びてくる。「2連勝の感触から、このメンバーでも手応えがあった。安藤さんの馬(グラッブユアハート)をマークした作戦もうまく当たってくれました」(酒井忍騎手)。文句なく会心の騎乗だろう。流れを正確に読み取ること、追ってきわめて達者なこと。新潟から移籍して3年。はっきり一流の仲間入りを果たしている。「走る馬とは感じていたが、いきなりとはね…。とにかく嬉しい。次走は未定だけれど、マイル前後を使っていきたい」(池田孝調教師)。JRA時右回り3勝だから大井も問題ないだろう。6歳馬ながら、夢と選択肢はまだまだ広がる。
レマーズガールはタフでしたたかにみえて、案外ナイーブな面もあるのだろう。「砂をかぶるとよくないので外々を回って追い上げた。そのぶんでしょう…」と武豊騎手。すでに統一G・4勝、しかし船橋コースはなぜか反応が鈍くなる。それでも一頭だけ背負った56キロで結果連対確保だから、地力上位は論を待たない。夏の大井→川崎でタイトル上積みはもちろんだが、そろそろ牡馬との対決も期待される。逆にグラッブユアハートは、対レマーズ3連敗。展開は理想的だっただけに、こと地方ダートに限るとひとまず勝負づけが終わったか。パドックのイレ込みなどだいぶ解消されたものの、パワーを要求されてひと息つらい。ブルーマドンナは例によって直線差を詰めただけ。統一Gでは入着ラインが指定席になった。ホウザングラマーもどこか集中力に欠けるレースぶりで、左回り、状態とも、依然大きな課題が残る。初ダートになったレンドフェリーチェは終始かかり気味で終いバッタリ。突破口の開けない戦いだった。スウィートダンスは懸念された通り、良の1600mではスタミナが物足りない。