軽ハンデ馬が日本一馬券にからむ重賞/トレセン発秘話
◆崎山調教師「この時期の牝馬限定戦だからこそ、デキのいい条件馬が激走するんだろうな」
「このレースは軽い斤量で乗れるジョッキーを、いかに早く確保しとくかが重要なんだ」
GIIIマーメイドS(14日=阪神芝内2000メートル)に関する庄野調教師の弁だ。2006年にハンデ戦施行になってから、50キロ以下の超軽量馬の連対が実に4回。これだけ軽い馬が勝ち負けする重賞は他になかろう。
「この時期の牝馬限定戦だからこそ、デキのいい条件馬が激走するんだろうな。ウチの馬が勝った年? あれは全てがうまくハマった。デキも良かったし、馬場まで重くなってより軽量が生きた」
こちらは08年に48キロのトーホウシャインで最低人気Vを決め、今年もカノンを出走させる崎山調教師の弁。
マーメイドSはもはや「格下馬が激走するレース」として関係者に広く認知されたのか、今年も登録段階でのオープン馬はわずか7頭。準オープン、1000万下の条件馬が残りの枠を狙って殺到してきた。
こうした状況下で重要になってくるのが、冒頭の庄野調教師の言う「軽い斤量で乗れるジョッキーの確保」というわけだ。もちろん、ハンデ発表前に騎手を確保しておかなくてはいけないので「52キロ以上ならA、それ以下だったらB」など、複数の騎手を押さえておく必要も出てくる。
「ウチのベリーフィールズの鞍上? もちろん加藤(祥太)ですよ。アイツもついに重賞初騎乗か」
先週時点では感慨深げにこう話していた庄野調教師だが、このベリーフィールズは登録段階で補欠1番手。出走できるか微妙な状況にある。
今年騎手デビューした新人の中で現在最多の12勝を挙げ、評判高い加藤が、仮に自厩舎の馬に乗れなかった時に、どの厩舎が確保するのか…。今年も水面下では軽量騎手の“奪い合い”が繰り広げられることになりそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)