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マンファス≒ペンタイア2×2のレッドウィズダム

  • 2015年06月17日(水) 12時00分
エイコオレクレール(牝 美浦・天間昭一 父ゴールドアリュール、母ホクトブルーバード)
 半兄にエスケーカントリー(父ティンバーカントリー/09年東海S-GII・5着、07年ユニコーンS-GIII・5着)、半姉にエイコオウイング(父アフリート/準OP)がいる。母ホクトブルーバードはクイーン賞(GIII)6着馬で、2代母ホクトフローラは東京3歳優駿牝馬の勝ち馬。代々高いダート適性を伝えているファミリーだ。本馬の父ゴールドアリュールはキングカメハメハとともに現在のダート界を牽引する名種牡馬で、スマートファルコン、エスポワールシチー、コパノリッキーをはじめ多くの大物を出している。母方にHyperionとSon-in-Lawから成る血を持つ産駒が大物に育ちやすい傾向が見られるが、本馬はその血統的条件を満たすFlower Bowl、Tudor Minstrelを抱えているので楽しめそうだ。ダート向きの中距離タイプ。

チェリークォーツ(牝 美浦・大江原哲 父ワークフォース、母アスクデピュティ)
 新潟2歳S(GIII)を勝ったミュゼスルタン(父キングカメハメハ)の半妹。母アスクデピュティは現役時代に芝中距離でOPクラスまで出世し、2代母マルカコマチは京都牝馬特別(GIII)を勝った。母はBanish Fear≒Blue Moon 7・4×6という相似な血のクロスを持っている。父の2代母の父AllegedはWar Admiral 3×4で、なおかつ Banish Fearを抱えている。両血脈とも上記の相似な血のクロスと関連性の深い血なので、この組み合わせは悪くないだろう。芝向きの中距離タイプ。

バデル(牡 栗東・中村均 父クロフネ、母ルアシェイア)
 母ルアシェイアは現役時代3勝馬で、フィリーズレビュー(GII)2着のラナンキュラス、ファンタジーS(GIII)3着のアディアフォーンの4分の3姉にあたる。2代母ファレノプシスは桜花賞(GI)、秋華賞(GI)、エリザベス女王杯(GI)を勝った名牝。その半弟には日本ダービー馬キズナ、近親には四冠馬ナリタブライアン、年度代表馬ビワハヤヒデがいる良血。「クロフネ×フジキセキ」は関東オークス(Jpn2)を勝ったホワイトフーガと同じ組み合わせ。Deputy Ministerとフジキセキのニックスを抱えているので期待できる。芝・ダート兼用の中距離馬。

レッドウィズダム(牡 栗東・角居勝彦 父キングカメハメハ、母プレシャスラバー)
 新潟記念(GIII)2回と中京記念(GIII)を制したナリタクリスタル(父スペシャルウィーク)の半弟。マンファス≒ペンタイア2×2という大胆なクロスが施されている。マンファスとペンタイアの共通部分のうち、「Northern Dancer+Mill Reef」が父キングカメハメハのツボで、相手方の繁殖牝馬にこれと似た組成の血が入っている馬が成功している。ファルコンS(GIII)を勝ったタガノグランパはまったく同じ「Northern Dancer+Mill Reef」の組み合わせから成るカフェドフランスという血を持っている。短距離王ロードカナロア、ダート王ベルシャザール、ジャパンCを勝ったローズキングダムなどはいずれも「Northern Dancer+Secretariat」という構成の血を持っている。SecretariatはMill Reefと同じ「Nasrullah+Princequillo」という構成だ。本馬が抱えるマンファスとペンタイアは「Northern Dancer+Mill Reef+Blakeney」なのでおもしろい。大物感あふれる中距離馬となるだろう。

ワントゥワン(牝 栗東・藤岡健一 父ディープインパクト、母ワンカラット)
 母ワンカラットはフィリーズレビュー(GII)など短距離重賞を4勝した名牝で、函館スプリントS(GIII)ではコースレコードを樹立した。Sadler's WellsとTop Villeはニックスの関係にあるが、本馬はSadler's Wellsの全弟Fairy KingとTop Villeを持っている。2代母バルドウィナはペネロピ賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬で、純ヨーロッパ風の、それも傍流の血で構成されているのがセールスポイント。母はデビュー時が472キロで、5歳暮れの阪神Cに出走した際は544キロ。3年で70キロ以上増えたように成長力に秀でている。その母バルドウィナの影響ではないだろうか。「ディープインパクト×ファルブラヴ」の組み合わせは桜花賞馬ハープスターと同じ。ファルブラヴを持たない4分の3同血のベアトリッツは3勝を挙げている。その比較から配合的に上のこちらには重賞級の期待がかけられる。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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