外枠を引き当てたのは幸運
まだまだ未知の部分大の3歳同士で、途中から方向転換してきたダート戦績の浅い馬もいるのに、最近10年の連対馬20頭の中には、7番人気の馬が1頭、4番人気の馬が3頭いるだけで、なんと「16頭」は上位1ー3番人気の馬によって独占されている。
あまり波乱の多い重賞とは思っていなかったが、これほど人気上位馬の好走が多いとは知らなかった。
3歳戦で人気上位馬が強いのは、「直前の成績がいい馬」が好走することにも通じる。連対馬20頭のうち、「15頭」までが、前走1着馬であり、前走2着馬が「3頭」。それも重賞か、オープン特別の2着馬。残りは、芝の重賞で7着馬と、古馬相手の1000万条件を小差4着していた昨年のレッドアルヴィスである。直前に連対していない馬は、明確な理由がないと苦しいことになる。今年、前走で負け過ぎの馬は少ないが、直前のレース内容にこだわった検討が正解なのだろう。
ゴールデンバローズ(父タピット)は、前回、ドバイのUAEダービーを3着。大きく離れてしまったから、善戦どまりの内容は物足りないものの、距離が長かった。かかり気味に行ったわりには大バテしていないから、初遠征を考慮すれば合格点か。今回は【3-0-0-0】の東京ダート1600mであり、前々回のヒヤシンスSの中身重視でいいだろう。
タピット産駒らしく、ただ行って粘るのではなく、追って味があるのが強み。だから位置取りに大きな注文はつかないが、揉まれない外枠を引き当てたのは幸運。昨年の米チャンピオンサイアーに輝いた父タピットは、いまでは伝説のボールドルーラー(1954年産)から、3冠馬シアトルスルーを経て、A.P.インディ、プルピット…と続く北米の「王座」に返り咲いた不滅の父系であり、タピットには父母両系に北米産の名馬があふれるように散りばめられ、サイアーラインのるつぼを思わせるような現代のチャンピオンである。
日本でも、シニスターミニスター、パイロ、カジノドライヴ、ボストンハーバーなど、蘇ったボールドルーラー系の波が感じられるから、再び主流父系のひとつに返り咲く時代が来るかもしれない。
牝馬のような切れを持つ
ノンコノユメ(父トワイ二ング)は、今週の走りやすいダートは大歓迎だろう。スローとはいえ、前回の上がりは古馬でも珍しい34秒7。スローから平均ペースの方が確実に切れる。
出負けした前回の凡走で、すっかり評価の下がった牝馬
ブチコ(父キングカメハメハ)は案外、怖い。3走前の内容は古馬1600万級であり、差す形を身につければ、大きく出世して不思議ない。この重賞では牝馬は厳しい印象があったが、近年の牝馬はダート界でも侮れない。このレースでも、最近4年間で3回も牝馬の連対した年がある。