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コジローの一刀両断

  • 2004年04月26日(月) 19時57分
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 4月21日大井「羽田盃」はあっと驚く結末だった。トキノコジロー。実績、潜在能力からはうなずける、納得できる勝利なのだが、それでもゴール際はあ然とした。4ヶ月ぶり、初コース、初ナイター、しかも休養前の前走、何ともふがいない大敗を喫している。が現実は、4コーナー12番手、大外から豪快な直線一気。終わってみれば、ベルモントストーム回避の羽田盃、その時点でセオリー、データ、すべて白紙という見方が正解だったか。個性の爆発―コジローに関しては、誇張でなくそんな言葉が似合っている。

羽田盃(サラ3歳 定量 南関東G1 1800m 良)

 (1)トキノコジロー   (56・山田信)1分53秒5
▲(2)キョウエイプライド (56・的場文)1.1/2
△(3)バックオフゴー   (56・早田)1.1/2
△(4)モエレトレジャー  (56・金子)1/2
 (5)ビッグライデン   (56・石崎駿)頭
 ………………………………………………
◎(6)ステルスライン   (56・桑島)
△(8)ミチシオ      (56・戸崎)
○(14)トミケンウイナー  (56・左海)

単3240円 馬複15410円 馬単51480円
3連複203750円 3連単1120270円

 1000m通過61.5秒、好枠ハネダキャノンが一気に飛ばし、淀みのない平均ペース。かかり気味にミーティアレインが追走。直後に内キョウエイプライド、外トミケンウイナー。以下、中団にシルクビート、エーピーライデン、バックオフゴー、ステルスライン。モエレトレジャーが金子騎手らしい待機策をとったことを除けば、注目馬、人気馬は、ほぼイメージ通り動いている。キャリア不足ハネダキャノンは3角過ぎで苦しくなり、直線入口、早くもキョウエイプライドが抜け出す態勢。トミケンウイナーは手応えが芳しくない。あと1F、先頭に立ったキョウエイプライドにバックオフゴーが迫り、しかし最後は大外トキノコジローの伸びが圧倒的だった。およそ12頭ほどをゴボウ抜き。上がり推定37.3秒。とりたてて展開に味方されたわけではなく、1800m1分53秒5も十分通年レベルに達している。

 「道中ずっといい感じ。休み明けだったけどうまくスタッフが仕上げてくれた。追えば伸びる、そう信じて乗りました」(山田信騎手)。長谷川蓮調教師は、「暮れ(全日本2歳優駿)と正月(サンライズチャレンジ)の凡走は、風邪気味だった影響でしょう。私なりに期待はあった」とコメントした。ただ当日7キロ減で、パドックなどイレ込みが相当きつい。次走6月4日「東京ダービー」。力走後のケアも含め、どう体調を維持していくか。燃えすぎる気性が逆に心配。現状は強さとモロさが同居する。

 キョウエイプライドはソツなく平均点のレースができた。「理想通り走っている。今日は勝ち馬が強かった」(的場文騎手)。結果2着でも安定した力をみせたといえるだろう。しかしごく普通には、初コースを3着のバックオフゴーが内容で上回る。「優等生タイプだね。仕上がってくれば相当走る」と早田騎手。上山→岩手5戦4勝で転入のアンバーシャダイ産駒。ゆったりした好馬体が目立ち、距離延長は願ってもない。期待したステルスラインは中団をスムーズに進んだものの、直線じわじわとしか伸びなかった。「今日は勝ちに行ったんだけど器用さがない。この次(東京ダービー)だね」(桑島騎手)。トミケンウイナーは大外枠を考慮しても最後ふがいない失速だった。懸念された通り早熟型であるかもしれない。モエレトレジャーは差す競馬だと入着ライン。結果的に今日は脚を計った競馬だったか。

 さてベルモントストーム。3月末、治療を含めた短期放牧。それでも帰厩後の回復は順調で、先週後半からダク、キャンターの通常メニューに戻ったと聞く。6月4日東京ダービー。ひとまず間に合わせる方向の調整だろう。ただ慎重でなる出川克己調教師と同スタッフ。徹底した馬優先主義は間違いない。現時点で出否五分五分というあたりか。

       ☆       ☆       ☆

クラウンC(4月29日 川崎 サラ3歳別定 南関東G3 2000m)

◎ブルーローレンス (55・的場文)
○ドリームデューク (54・森下)
▲アイディングロウ (54・石崎隆)
△トウカイリーチ  (54・酒井)
△エスプリゼット  (55・内田博)
△グリンセレブ   (54・佐藤隆)

 距離2000mが嫌われたか、少し寂しい顔ぶれになった。それでも一昨年、勝ち馬キングセイバーが続く東京ダービーを制している。スタミナ、折り合いを確かめる意味で、それなりに貴重なレースとはいえるだろう。

 新星ブルーローレンスはデビューから4戦全勝。900→1500→1600mの延長を難なくクリア、中にJRA交流快勝がある点も心強い。シャンハイ×ノノアルコ、なるほど血統背景は短~マイル向きだが、道中スッと折り合いがつき、追ってもうひと伸びするレースぶりなど、一枚器が違うと判断する。勝ちっぷりしだいでは当然クラシック参入。そうなれば、東京ダービー制覇を一つの悲願とする的場文騎手にとってキョウエイプライドと同天秤、悩ましい選択が強いられてくる。いずれにせよ今年の状況は、新スター登場が不可欠だ。
 ドリームデュークは一昨年関東オークス2着スターオブブリッジの半弟。ここまで[2-1-1-2]、気性難で一進一退ながらスムーズに走って瞬発力がある。アイディングロウはエアダブリン産駒で、中~長距離向きを思わせるパワーが魅力。以下、トウカイテイオーの仔トウカイリーチ、アサティスの仔エスプリゼット。今後を含めステイヤータイプに注目する。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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