◆佐々木調教師も「大阪杯で人気がなかったのがおかしいくらい。日本のトップホースになる可能性? もちろん、あると思う」
「ゴールドシップの1強」と言われる今年の宝塚記念。3連覇のかかるこの馬以外、複数回GIを勝ったことのある馬がいないのだから、そう言われても仕方のないことなのかもしれない。
しかし、だ。「その他の馬」の中に、あのルメールが“日本代表”に指名した馬がいることを忘れてはならない。大阪杯を快勝した翌週、多くの報道陣を前に、世界の名手は「ラキシスは今年、日本でトップホースの一頭になる」と宣言しているのだ。
2005年有馬記念でハーツクライがディープインパクトを破った時、即座にキングジョージへの参戦を進言。実際、翌年の同レースでは凱旋門賞馬ハリケーンラン、ドバイワールドC勝ち馬エレクトロキューショニストと火の出るような叩き合いを演じて半馬身+半馬身差の3着。そのアドバイスが的確なものであったことを証明したルメールの言葉だけに、十分に信頼に足る。
「あの馬は強いよ。大阪杯はウチのキズナが止まったのもあるけど、あの(不良)馬場であれだけの末脚を使う馬なんて、そうそういない。だいたい去年の有馬記念(6着)でも見せ場たっぷりの競馬をしてるじゃない。大阪杯で人気がなかった(4番人気)のがおかしいくらい。日本のトップホースになる可能性? もちろん、あると思う。雨が降って馬場が悪くなりやすい宝塚記念なんて、もってこいだろうからね」
大阪杯で2着に敗れたキズナの佐々木調教師もルメールのラキシスに対する評価に肯定的だ。
今回の勝負が対ゴールドシップに集約されることはルメール本人も分かっている。「あの馬は確かに強い。ただすごいスタミナ型でワンペース。本来ならもっと距離はあった方がいい。その点、ラキシスは瞬発力が素晴らしい。これはベリーグッドポイントです」と特性の違いで、ライバルの脚を封じる構えだ。
今年3月に、同じくJRA所属の外国人騎手として再デビューしたミルコ・デムーロが皐月賞、ダービーをドゥラメンテで制するなど、大暴れしたのとは対照的に、ここまでGI勝ちゼロに終わっているルメール。「GIを勝つのはとても難しいことです。でも勝ちたい。宝塚のラキシスは本当にいいチャンス」と上半期のラストバトルにかなりの手応えと執念を抱いて参戦する。
ゴールドシップの3連覇を阻む、大逆転の一撃を最も期待できるのは、ルメール騎乗のラキシスなのは間違いあるまい。
(栗東の坂路野郎・高岡功)