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南アフリカの今シーズンを締めくくるダーバンジュライ展望

  • 2015年07月01日(水) 12時00分


1番人気は近年の南アフリカ調教馬として最高のレイティング「120」を獲得したリーガルイーグル

 南アフリカの今シーズンを締めくくるビッグイベント「G1ダーバンジュライ(グレイヴィル競馬場、芝2200m)」の開催が、今週土曜日(7月4日)に迫っている。

 創設は1897年で、当初はマイル戦だったが、幾度か距離変更があった後、1970年から現行の2200mに定着している。フルゲートの18頭に、補欠馬2頭を加えた20頭がスタンバイしている中、ブックメーカーのスポーティングベット社が3.25倍のオッズを掲げて1番人気に挙げているのが、リーガルイーグル(セン3、父グレイズイン)だ。

 地元南アフリカ産馬のリーガルイーグルは、3歳春にあたる昨年10月28日にターフフォンテンのメイドン(芝1160m)でデビューし、ここで7着に大敗。そこから4か月の休養を経て、2度目の実戦となったのが今年3月5日にヴァールで行われたメイドン(芝1500m)で、ここでようやく初勝利を挙げている。北半球に当て嵌めれば、3歳秋に初勝利を挙げた馬が、3歳シーズン締めくくりの大一番で本命に推されているのだから、この間の出世がいかに目覚ましいものであったかが容易にご想像いただけよう。

 続くヴァールの一般戦(芝1700m)は2着に敗れたものの、4月4日にターフフォンテンで行われたダービートライアルS(芝2000m)を制して2勝目をマーク。勢いに乗って出走した次走がG1サウスアフリカダービー(芝2450m)で、ここを3馬身差で制して、重賞初制覇をクラシックで成し遂げる離れ業を演じた。

 そして、この馬の評価を一気に上げることになったのが、6月14日にターフフォンテンで行われたG3ジュビリーH(芝1800m)だった。60.5キロのトップハンデを背負いながら、古馬相手に4.1/4馬身差の快勝。このレースで南アフリカ調教の3歳馬としては近年最高のレイティング120を獲得し、一気にダーバンジュライの本命の座に駆け上がったのである。

 リーガルイーグルが台頭してくるまで、このレースの前売り1番人気の座にあったのは、古馬のフューチュラ(牡4、父ダイナスティー)だった。

 この馬もリーガルイーグル同様に3歳後半になって力をつけた馬で、3歳2月にケニルワースのハンデ戦(芝1600m)で2勝目を挙げると、これを皮切りに3連勝。重賞初挑戦となったG3カップトライアル(芝1800m)で3着に善戦した後、53キロという軽ハンデで出走した昨年のG1ダーバンジュライでも3着に健闘。その後、グレイヴィルのG1チャンピオンズC(芝1800m)を制し、重賞初制覇をG1で果たして3歳シーズンを終えている。

 今季の同馬は、南アフリカにおけるシーズン前半の総決算G1J&Bメット(芝2000m)に優勝し、古馬最強の称号を手中に。そして3か月半の夏休みをはさみ、秋緒戦となったグレイヴィルの一般戦(芝1600m)を勝ち星で通過した後、6月6日にグレイヴィルで行われたG1ゴールドチャレンジ(芝1600m)は、勝馬から1.1/4馬身差の4着だった。

 フューチュラとて相当に高い能力を持つ馬だが、ここはハンデ戦で、古馬のこの馬がトップハンデの60キロを背負わされた一方、3歳のリーガルイーグルは54キロでの出走となったため、スポーティングベットはフューチュラをオッズ6.5倍と、リーガルイーグルとはかなり差のある2番人気に評価している。

 オッズ7倍と、フューチュラと差のない3番人気につけているのが、マジム(牝3、父リダウツチョイス)である。

 オーストラリアのアロウフィールドスタッドが生産し、ドバイのハムダン殿下が所有するマジムは、2歳秋にマイク・ドゥコック調教師の管理馬として南アフリカでデビュー。メイドン(芝1000m)、G3プリティポリーS(芝1100m)を連勝した後、G1サウスアフリカフィリーズナースリー(芝1160m)を8.3/4馬身差で圧勝して3連勝を飾り、同国の2歳牝馬チャンピオンの称号を手にしている。

 3歳緒戦のF&Mチャレンジ(芝1450m)で4着に敗れ連勝は止まったものの、3歳12月にケニルワースのG1ケイプフィリーズギニーズ(芝1600m)を制しG1初制覇。多くの名馬を手掛けてきたドゥコック師をして「自らが手がけた最強の牝馬かもしれない」と言わしめている。4か月の夏休みを経て、秋初戦となったターフフォンテンのG1エンプレスクラブS(芝1600m)を快勝し2度目のG1制覇を果たした後、G1サウスアフリカダービーのアンダーカードとして行われた前走のG1チャンピオンズチャレンジ(芝2000m)は2着だった。

 そのG1チャンピオンズチャレンジで、マジムを破って優勝したウィリーホール(牡5、父リダウツチョイス)を、スポーティングベットはオッズ8倍の4番人気に推している。

 ウィリーホールは、一昨年のG1サウスアフリカダービーの勝ち馬である。4歳時の昨年は、10戦して勝ち星は一般戦(芝1400m)で挙げた1勝のみで、G1J&Bメットでは12着に大敗と、不本意な1年を送っていたが、オッズ34倍の13番人気とおおいに評価を落としての出走となったシーズン末のG1ダーバンジュライで、1着入線・2着降着というパフォーマンスを見せ、力のあるところを示している。

 今季前半はファンの前に姿を現さず、4月4日にターフフォンテンで行われたG2コロラドキングS(芝2000m)で8か月振りの戦線復帰を果たし、ここを白星で通過。そして前走G1チャンピオンズチャレンジではマジムを破り、3歳秋のサウスアフリカダービー以来となるG1制覇を果たしている。当初はこのレース未登録だった同馬だが、5月12日の登録ステージで追加登録されての出走となっている。

 3歳・古馬、牡馬・牝馬入り乱れてのシーズン総決算の行方に、皆様もぜひご注目いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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