川田、牧田厩舎宇田助手のコメントから導いた三段論法/トレセン発秘話
◆川田が「いい時のハープスターと同じ走りができる馬」と絶賛する馬と同じ走りができる馬とは…
「キミの馬(アンビシャス)が57キロで、ウチの馬(ナヴィオン)は56キロだろうな」
先週の坂路小屋で行われた恒例の“師弟対談”。日曜(7月5日)のGIIIラジオNIKKEI賞(福島芝1800メートル)のハンデについて、橋口弘調教師は音無調教師にこう振っていた。坂路野郎もアンビシャスのハンデ57キロは確実と思っていただけに、最重量とはいえ56.5キロの発表は少々意外なものだった。
あまり見られない56.5という斤量の裏に、ハンデキャッパーの苦悩が見え隠れするが、アンビシャス(プリンシパルSの覇者)は仮に日本ダービーに出ていれば上位人気に支持されていたであろう世代屈指の実力馬。そのポテンシャルと、あえてダービーをパスしてここに備えていた本気度を考えれば、57キロにならなかったのは陣営にとって追い風以外の何物でもない。わざわざルメールが福島まで遠征することも加味すれば、この馬から入るのが妥当なのだろうが…。その他にも高い能力を秘めた馬はいる。
チューリップ賞2着など、今年の牝馬クラシック戦線で活躍したアンドリエッテ。鞍上の川田はその走りを「いい時のハープスターと同じ走りができる馬」と絶賛していたが、この魅惑のアンドリエッテと同じ走りができる馬が牧田厩舎に実はもう1頭いる。それがブランドベルグだ。両馬ともに攻め馬にまたがる宇田助手がこう言う。
「これは乗っている人間の感覚的なものなのでうまく説明しづらいけど、トモの動きとか、アンドリエッテとブランドベルグは走り方がほとんど同じ。攻め馬もやればいくらでも時計が出るし、能力は相当なものがある」
その前走(500万下平場)は時計のかかる芝、ハミをリングに替えた効果など、いろいろな要素が働いたと思われるが、2着馬に0秒5差の圧勝劇。中1週での福島遠征は若干気がかりにしても、それを乗り越えられれば…。ハンデは軽量53キロ。“魅惑の一発”が期待できるかもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)