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リサ・オールプレス騎手(1)『13年ぶりの来日 世界で活躍する女性騎手』

  • 2015年07月06日(月) 12時00分
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▲今月のゲストはL・オールプレス騎手。バイタリティー溢れる彼女の魅力に迫ります


今年5月から短期免許で来日中の、ニュージランドのリサ・オールプレス騎手(40歳)。日本での騎乗は2002年以来2度目。覚えている方もいらっしゃるでしょう。当時は旧姓のリサ・マンビー騎手として来日。あれから13年。結婚・出産を経て、今では2児の母という一面も。いまなお世界を舞台に活躍する彼女の素顔に迫ります。(取材:赤見千尋)


ジャパンCを見てエキサイティング!


赤見 女性騎手として女性として、いろいろなお話をお聞きしたいなと、とても楽しみにしてきました! 今回、13年ぶりの来日となりましたが?

リサ ええ。2度目の来日ですので、“チャレンジ!”という気持ちで来ました。

赤見 もう一度日本に来ようと思われたきっかけは、何だったんでしょうか?

リサ 去年まではシンガポールで乗っていて、そのまま今年も向こうで乗るつもりだったんですけど…。向こうは外国人騎手の枠があって、今年は免許の延長ができなくなってしまったの。それが決定したのが去年の11月。なので、チャンスがあるならばと、日本や香港で乗れる機会を探していたんです。

赤見 それで、日本にいらっしゃることに。

リサ これまでに自国(ニュージーランド)でリーディングを獲ったこともあったので(2011-12年シーズン)、そういう実績も考慮してもらって、JRAの免許が取れたんだと思います。

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▲取材現場に内田博幸騎手が登場。親しく会話する姿に、競馬サークルにいかに馴染んでいるかが垣間見えます


赤見 前回と今回の来日では、ご自身にとって大きな違いがありますね。前回は今の旦那さんと婚約中で、いまや2人のお子さんのお母さんに!

リサ そうなの。もうすぐ家族も来日するの。もう、待ちきれないです!
(取材後、ご家族が来日。「今回の来日のなかで最も嬉しい出来事の一つです」と明かしてくれました。)

赤見 毎日Skypeで話しているそうですね。

リサ 時間がある限りね。ちょっと時差があるので、時間が合う時に話してるんです。朝「おはよう」とか、夜に「おやすみ」とか。今はテレビ電話で顔も見られますからね。

赤見 今回は5月2日から7月26日までの約3か月の滞在ですが、ご家族はどんな反応だったんですか?

リサ やっぱり3か月も離れるということで、手離しにオッケーしてくれたわけではないけれども。それでもお仕事だっていうことは子供たちも理解してくれてるし、主人もとてもよくサポートしてくれて、快く送り出してくれました。

赤見 旦那さんやお子さんたちも、2か月ぶりにリサさんに会えるのを楽しみにしているでしょうね。

リサ ええ。みんなすごく心待ちにしてくれているみたい。前回の来日の時は、主人はアシスタントトレーナーとして働いていたので、忙しくて家族は日本に来ることができなかったの。でも今回は、主人も子供たちもこっちに来るチャンスがあるのでうれしい。みんなで東京ディズニーランドへ行くのを楽しみにしているんです!

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▲7月4日福島1Rをネコダンサーで勝利。ご家族、管理する堀井師、身元引受人である二ノ宮師と記念の口取り写真(撮影:下野雄規)


赤見 13年ぶりに来られて、日本の競馬に変化は感じますか?

リサ ジョッキー全体のレベルが上がっているのは感じます。レースも本当にタフ。だから、いい騎乗馬を確保するのがなかなか難しい…。海外から来る騎手として、そういう点はやっぱり一つの問題になりますね。

赤見 騎乗開始の最初の週に重賞に騎乗されて、いきなりインパクトのある結果を出されました。ナカヤマナイトでの新潟大賞典でしたが、13番人気で2着!

リサ アリガトウ。事前に聞いていたのは、ナカヤマナイトはコントロールするのが難しい馬だけども、とても強い馬だということ。なので、追い切りの時もレースに行った時も、上手くコントロールすることを意識して乗ったの。馬もいい具合に折り合いがついて、上手く回って来られたと思います。自分としてはいい結果が出たなって。ただ、あそこまでいったら勝ちたかったですけどね(苦笑)。

赤見 それでも、馬にとっては2年3か月ぶりの馬券圏内。自厩舎の二ノ宮厩舎(美浦)の馬で、ああいう大きなレースで結果が出たというのは、大きかったんじゃないですか?

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▲赤見「自厩舎の二ノ宮厩舎の馬で、ああいう大きなレースで結果が出たというのは、大きかったんじゃないですか?」


リサ そうね。こういったチャンスをもらえたことが本当にうれしいし、感謝しています。ちょっと馬ががんばり過ぎてしまって…、故障してしまったのが残念です。(レース後に右前浅屈腱炎が判明)

赤見 その翌週には、同じ二ノ宮厩舎のショウナンマルシェ(赤倉特別1000万下)で来日初勝利。

リサ あの時は本当に興奮したし、ああいう機会を与えてもらったこともうれしかったです。それに、ひとつ勝ったら「もっともっと勝ちたい」という欲も出て来て。

赤見 2勝目は5月30日の東京でしたね(4歳上1000万下、クラシックメタル)。

リサ 東京で勝つというのは、今回の来日での一つの目標だったの。前回は勝てなかったので、今回達成できてうれしい。昔、ジャパンCを見に来たことがあるんです。本当にエキサイティングして、「いつか私もここで乗りたい!!」っていう衝動に駆られたの。

赤見 東京はそういう気持ちにさせるようなコースなんですね。

リサ そうよ! 東京は世界でもナンバーワンと言っていいぐらい、すごいコースです。ただ、今回はダートコースだったので、今度は芝のコースで勝てるようにがんばりたいです。
(取材後、6月20日の東京9R芝2000mをネコタイショウで勝利しました。)

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▲美浦トレセンで調教をつけるオールプレス騎手


赤見 免許の期間は残り1か月ですが、手応えはいかがですか?

リサ ん〜、正直、苦労している点は多少あります。生活面では、やっぱり言葉の壁ですね。1人で住んでるし、運転もして、電車にも1人で乗ったりするんですけど、苦労することはまだまだ多いです。ニホンゴ、ムズカシイ〜。

赤見 でも、だいぶ上手になられたんじゃ?

リサ いやいや、まだまだ。「もしもし」と「ムシムシ」が同じに聞こえますもん(笑)。

赤見 たしかに似てます(笑)。

リサ でしょう(笑)? あとは、レースでももうちょっと結果を出したい。さっきも言ったように日本のジョッキーのレベルは上がっているから、なかなか難しいところで…。でも、一つ勝ってそれをつなげていければ、いい馬も回ってくるでしょう。今日はこれから、栗東トレセンに行くの。調教に乗せてもらおうと思っています。こういうきっかけからまたつながっていけばね。そう信じて、最後までしっかりがんばりたいです!(文中敬称略、つづく)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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