4月29日、川崎「クラウンC」。1番人気ブルーローレンスが完勝。デビューからの連勝記録を“5”と伸ばし、同時に東京ダービー(6月4日大井 2000m)へ夢をつないだ。
道中2番手。アイディングロウが引っ張る超スロー(1000m通過65秒1)に前半少しかかったものの、向正面あたりからは落ち着いた行きっぷり。4コーナー手前、外から動いたエスプリゼットの仕掛けに合わせ、力強く抜け出した。3/4馬身差、脚抜きのいい馬場の2000m2分11秒0は平凡としかいえないが、ひとまず今日のメンバーでははっきり能力が違っている。シャンハイ×ノノアルコながら、ガツンと行くタイプではなくレース上手。当日482キロ、馬体にも走法にも柔らかさが感じられた。
クラウンC(サラ3歳 別定 南関東G3 2000m重)
◎(1)ブルーローレンス (55・的場文)2分11秒0
▲(2)アイディングロウ (54・石崎隆)3/4
△(3)エスプリゼット (55・内田博)2
○(4)ドリームデューク (54・森下)首
△(5)トウカイリーチ (54・酒井)1.1/2
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△(5)グリンセレブ (54・佐藤隆)
単200円 馬複400円 馬単640円
3連複860円 3連単2290円
「まだソエが完治していないので、強い稽古ができない段階。走る馬ですよ。血統的に距離がどうかと思ったけど、まあ今日は上がりの競馬。安心してみていられた」と足立調教師。的場文騎手は「とにかくセンスが素晴らしい。2000mをこなした点で、次(東京ダービー)へ向けて大きな意味があると思う」。しかし思えば彼は、地元大井にキョウエイプライド(羽田盃2着)というお手馬を抱えている。南関東7不思議の一つといわれる、的場騎手のダービー未勝利。さてこの選択はどうなるか。
アイディングロウの逃げは意外だったが、結果的にジリ脚を逆手にとった石崎隆騎手の好判断。デビューから7戦[0-6-1-0]という馬で、切れる脚がない反面、競り合って容易にバテない。父エアダブリンの大型馬。今後スピード面で進境があれば、個性派として面白い存在だろう。エスプリゼットは内田博騎手が積極的に乗ったものの、現状の力通り。ドリームデュークは気性難があるか、終始内にササリ気味で不完全燃焼の印象だった。
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テレビ埼玉杯(5月6日浦和 サラ3歳以上 別定 1900m)
◎ダイタクリムジン (56・山中)
○イシノファミリー (58・山田信)
▲ファイブビーンズ (56・内田博)
△ナイキアディライト (58・石崎隆)
△ブルーマドンナ (54・左海)
△クラシカルマウント (56・見沢)
△カミスドリーム (56・秋田)
G3らしい小粒な顔ぶれだが、それなりに上位拮抗、馬券的には面白みがありそうだ。ダイタクリムジンは今季浦和1900m2連勝、コース実績[3-0-0-0]と抜群の相性を誇る。まくる脚に凄みを加えた5歳馬。初の重賞挑戦だが、前走1900m1分59秒8の記録から(昨秋埼玉新聞杯=ファイブビーンズ2分0秒8)、少なくとも数字上は見劣りしない。父ザグレブ。なにやら血統的な勢いも味方しそう。鞍上・山中尊徳騎手は、唯一の重賞勝ちを浦和桜花賞(平成12年=アミー)で飾っている。
イシノファミリーはすでに若潮盃、東京湾C、報知グランプリCと重賞3勝。バランスのいい中距離馬で、ごく普通には最も安定感がある。ただ前走統一Gダイオライト記念大敗で、一つショックがないかどうか。今回58キロも背負いなれていないぶん楽観できない。ナイキアディライトは正念場だが、近況に精神面の翳りを感じる。むしろ再びハマってファイブビーンズの追い込み。ブルーマドンナ、クラシカルマウントはさらにもつれた際の狙いだろう。
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天皇賞・春をイングランディーレが勝った。ノンプレッシャー、思い切った大逃げ。昨夏、旭川・ブリーダーズGC→金沢・白山大賞典を制した長距離走者で、地方ファンにも強烈な印象がある。ただし、その後JBCクラシック、ステイヤーズS、名古屋グランプリと期待を裏切り、直前の船橋・ダイオライト記念もミツアキタービンに完敗では、いかにも印象が悪かった。競走馬の能力とはやはり、勝ったときの強さが基準になるということ。敗戦をほじくり返していては、たぶんいい予想、いい馬券とは縁遠くなるのだろう。
一方、4月29日「オグリキャップ記念」を完勝したミツアキタービンに、数日後故障が判明している。レース後歩様が乱れたことから精密検査。靱帯損傷、春シーズンは絶望となった。順調なら6月大井「帝王賞」で最有力馬になったはず。つくづく競馬とは一寸先さえわからない、栄枯盛衰、無常の領域だと思い当たる。もっともこれから半年の放牧休養、リフレッシュ。ミツアキタービンにとって、これが「塞翁が馬…」、むろんそうなればいいのだけれど。