この稿がアップされるころには北海道にいる予定だ。13、14日のセレクトセールのほか、門別競馬場、ホーストラスト北海道などを取材し、来週末は関西に移動。本稿の「新橋居酒屋シリーズ」に登場するプロデューサーのソブさんと合流し、優駿エッセイ賞グランプリを受賞した中島龍太郎さんを訪ねて、高野山の金剛峯寺に行く。
「高野山では宿坊に泊まらせてもらうことになりました」とソブさん。
「それは楽しみですね。煩悩を捨てて行かないと、ハハハ」
「先に謝っておきます」
ソブさんが、さして申し訳なさそうではない口調で言った。
「何をですか?」
「いやあ、私、イビキがひどいらしいんですよ。島田さんが寝られないんじゃないかと思って」
「いいですよ、耳栓を持って行きますから」
私の言葉が終わらないうちに、ソブさんは、どこの何が絶品で、近くには美味い酒を飲ませるところがあって……と話し出した。飲み食いのことしか頭にないらしい。
どう結びつくかは上手く説明できないのだが、ソブさんの様子から、この人のイビキのやかましさは並ではないと確信した。
「イビキ」「鼻栓」で検索したら、鼻の穴に突っ込むU字形のクリップなど、いろいろな予防器具があるようだ。ソブさんが自分で用意することはまずないだろうから、私が買わなければならないのか。
金剛峯寺で中島さんとどんな競馬談義をし、そして私が宿坊で眠れたかどうかは、再来週の本稿に記したい。
金剛峯寺に行くのは初めて、セレクトセールは2年ぶり、ホーストラスト北海道は1年ぶり、門別競馬場は被災馬支援の「ハッツオフプロジェクト」を手伝っていたとき以来だから4年ぶりぐらいだろうか。
門別競馬場には、取材のアポをとった時間より早く行き、場内のカフェかレストランで飲み食いしようと思っている。行った人に聞くと、どこも美味いらしい。
以前、ここにも書いた同競馬場の入場人員だが、今週水曜日、7月8日は608人、翌木曜日は776人だった。
もっとたくさんの人が集まるようになってほしい、と書いたが、立地と平日開催という条件を考えると、簡単にクリアできる問題ではなさそうだ。札幌からの送迎バスも、駐車場も入場料も無料。場内にカフェを新設するなど、埒のこちら側の環境をよくすることはもちろん、内回りコースを整備してレースの施行距離を増やしたり、レース体系を見直したりと、埒の向こう側にも企業努力のあとが見え、それらが黒字化と累積赤字解消につながったのだろう。取材では、現場の実感を聞きたいと思っている。
もうひとつ、これは時間に余裕ができて、また先方がオッケーしてくれたらという条件つきだが、1頭、会いたい馬がいる。JRAにいたとき、私が一口持っていたアンスーリールである。父タニノギムレット、母シーセモアの5歳牝馬。そう、贔屓のスマイルジャックの全妹だ。3歳時、2013年の秋までに中央の未勝利を勝てず、園田に転厩して再ファンドを目指したが1勝しかできず(2着が7回もあった)、この春、門別に移籍した。成績表を見ると、門別では460kg台や470kg台で競馬をしている。ずいぶん体が大きくなったようだ。
金剛峯寺から戻ったら、翌週は相馬野馬追がある。この年齢になって厄介になるのは恥ずかしいのだが、今年も、小高郷の騎馬武者で、友人の蒔田保夫さんの家に泊めてもらうことになった。
野馬追が終わったら、8月から札幌開催が始まる。
8月23日の札幌記念に、ルージュバックとトーホウジャッカルがプランどおり出てきたら、さぞ盛り上がることだろう。
翌週、8月29、30日には、これまで秋に行われていたワールドスーパージョッキーズシリーズが、「ワールドオールスタージョッキーズ」として札幌で実施される。そこに出場する地方競馬の騎手を決める「スーパージョッキーズトライアル2015」では、今まさに熱い戦いが繰りひろげられている。
夏には夏の楽しみがある。
汗をかきかき、満喫したい。