▲2014年のJBCレディースクラシックを制したサンビスタ 撮影:高橋正和
各一口クラブを、様々なデータから徹底的に分析していくこのコラム。クラブの特色や強みはどこなのか、血統・価格・厩舎など、どんな条件が一番オイシイ“買い”ポイントなのか、じっくりと探っていきます。(文:大薮喬介)
重賞戦線で牝馬が好走、全体成績も牝馬優位
皇帝シンボリルドルフが有馬記念で有終の美を飾った翌年の1986年にユニオンオーナーズクラブは設立。現役最強馬ゴールドシップ、1985年のクラシック二冠馬ミホシンザン、1988年のダービー馬サクラチヨノオー、1993年のダービー馬ウイニングチケットなどを輩出した日高の牧場を中心に集結した牧場系のクラブだ。設立当初は25の株主牧場、現在は20の株主牧場で形成。これに複数の提携牧場から生産馬が提供されるかたちで運営されている。
1989年のエリザベス女王杯を最低人気(20番人気)で優勝したサンドピアリスは、同クラブの初年度募集馬。その後も牝馬ながら1990年の京都大賞典で3着、翌年の京都記念で2着するなど活躍した。いきなりGI馬を出したことで、同クラブは一気に注目されるようになり、現在も約5000人の会員数がいるといわれている。
近年の活躍馬は、2010年にJBCスプリントを優勝したサマーウインド、昨年のJBCレディースクラシックを制したサンビスタで、ダートを主戦場にしている馬が目立つ。また、2011年のフィリーズレビューを勝ったフレンチカクタス、2007年のキーンランドC優勝馬のクーヴェルチュール、2006年のマーメイドS覇者ソリッドプラチナムなど、重賞戦線では牝馬の好走の割合が高い。全体の成績を見ても、過去5年の勝利数は牡馬より牝馬のほうが多い。
募集口数は200口か500口のいずれか。募集価格もおおむね300〜4000万円の間だ。産地直売をうたっているだけあって、走る馬をリーズナブルな価格で出資できる。ちなみに、2006年にマーメイドSを勝ったソリッドプラチナムは、募集価格が399万円。募集口数が200口だったので、一口の価格は1万9950円という激安ぶり。それで重賞を勝ってくれたのだから、同クラブの馬には安価でも夢を見ることができるのだ。なお、同馬の獲得賞金は1億1980万円なので、回収率は驚異の3002%だ。