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【特別対談(3)】北橋元調教師×福永騎手『祐一は、馬に乗ったときに人間が丸すぎる』

  • 2015年08月18日(火) 18時01分
祐言実行

▲今月は北橋修二元調教師との師弟対談。師から見た「騎手・福永祐一」の評価とは


(つづき)

早く一人前になってくれんとな


福永 先生がどれほど腹をくくっていたとしても、馬主さんはもちろん、厩舎スタッフのなかにも、ほとんどの馬に僕が乗ることについて、複雑な思いがあった人もいたでしょうね。

北橋 そうだとしても、スタッフたちには、「祐一が下手くそだとかなんだとか、絶対に外で言うな。言いたければ、直接本人に言え」ときつく言ってあった。これは本当に何度も言った。そうじゃないと育たへんぞって。馬主さんに対しても、「騎手を替えてくれ」と言われたら、「申し訳ありませんが、うちは祐一を育てなければいけませんから、どこかよそに持っていってください」と、そういえる覚悟があったから。

福永 実際、それで転厩した馬がいましたよね?

北橋 いや、「替えてくれ」って言われたことはあったけど、「まぁまぁ、もう1回か2回、祐一を乗せてから考えさせてください」ってお願いしたら、「わかった。頼むな」って。大抵はそれで済んでたよ。

福永 それですら、なかなか言えることではありませんよね…。瀬戸口先生が馬主さんから「福永を替えろ!」って言われているのも、僕、目の前で見たことがあるんです。そうしたら、瀬戸口先生も「だったら、ほか(の厩舎)に持っていってください」と、ためらいもなく言っていて…。

北橋 今はそこまでビシッと言える調教師はおらんからなぁ。ただ、瀬戸口さんもわしも、それが普通やと思っとったから。

祐言実行

▲「今はそこまでビシッと言える調教師はおらんけど、それが普通やと思っとったから」


福永 僕じゃなかったとしても、そこまで言える覚悟がないなら、ジョッキーを預からないということですよね。

北橋 うん、そういうことや。

福永 あと、先生は決して僕のことを褒めませんでしたよね。人前ではもちろん、現役のころは、ふたりでいるときにも。

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祐言実行とは
2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。

1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。

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