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ヴレ(牡 栗東・加用正 父ハーツクライ、母ストライキングヴェイル)
父ハーツクライは晩成型のトニービンを母の父にもつせいか、完成が遅い傾向があり、代表産駒のジャスタウェイは4歳秋に本格化した。日本ダービー(GI)を勝ったワンアンドオンリー、オークス(GI)を勝ったヌーヴォレコルトは、完成の早さをうながすMr.ProspectorとDanzigを併せ持っており、それが3歳春にタイトルを獲ることができた大きな要因だろう。本馬はこのパターン。それに加え、これもハーツクライの配合で成功しているMr.ProspectorとRobertoの組み合わせも持っている。2歳戦から走れるタイプで、パワー型に出ている場合はダートでもツブシがきく配合だ。
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グランジャー(牡 栗東・石坂正 父キングカメハメハ、母プレシャスフラワー)
母プレシャスフラワーは未勝利馬だが、その半弟サンライズレクサスはOP、ヒカリシャトルは準OPまで出世した。本馬の全兄ウインドミネーターは準OP馬で、本馬と4分の3同血(父が同じで母が親子)の関係にあるサンライズクォリアは全日本2歳優駿(JpnI)4着、兵庫チャンピオンシップ(JpnII)2着、ユニコーンS(GIII)3着という成績を残している。父キングカメハメハは「Northern Dancer+Secretariat」の構成を抱えた血と相性がよく、短距離王ロードカナロア、ダート王ベルシャザール、ジャパンCを勝ったローズキングダムなど、主要な活躍馬はこの配合パターンから誕生している。本馬の2代母プレシャスキールはこれとよく似た構成なので配合的に見どころがある。ダート向きの中距離タイプだろう。
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シャリオドール(牝 美浦・戸田博文 父ヴィクトワールピサ、母サプレザ)
母サプレザはサンチャリオットS(英G1・芝8ハロン)を3連覇した名牝で、マイルCS(GI)にも三度出走し、3、4、3着という好成績を残した。日本の高速馬場への適性も十分感じられる馬だったので繁殖牝馬としても期待したい。父ヴィクトワールピサは新種牡馬。現役時代にドバイワールドC(首G1・AW2000m)、有馬記念(GI・芝2500m)、皐月賞(GI・芝2000m)などを制した名馬で、アサクサデンエン(05年安田記念-GI)、スウィフトカレント(06年小倉記念-GIII)を兄に持つ良血。現時点で3頭が勝ち上がっており、そのうちの2頭がMr.Prospectorのクロスを持っている。本馬はMr.Prospector 3×4。全体的に欧州色の強い配合なので、スピードや素軽さを与えるこのクロスは好感が持てる。芝向きの中距離タイプで大物感あり。
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ファニーヒロイン(牝 美浦・戸田博文 父ゴールドアリュール、母ファニーストーリー)
スマートボムシェル(現6戦2勝)の全妹。母ファニーストーリーはブリーダーズゴールドC(JpnII)2連覇など5つのダート重賞を制したシビルウォーの半姉にあたり、その父Distorted Humorは11年の米リーディングサイアー。ダート向きの優れたポテンシャルを感じる。母にMr.Prospector、Sadler's Wells、Rivermanを抱えたゴールドアリュール産駒といえばクリソライト(13年ジャパンダートダービー-JpnIなど重賞3勝)によく似ている。Nureyev≒Sadler's Wells 3×3は底力十分。確実性があり、なおかつ大きいところも狙える好配合馬だ。ダート向きの中距離タイプ。
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レッドシルヴィ(牝 美浦・鹿戸雄一 父ヴィクトワールピサ、母ダンスーズデトワール)
アルゼンチン共和国杯(GII)を勝ったルルーシュ(父ゼンノロブロイ)の半妹で、オメガホームラン(父ダイワメジャー)、ステージプレゼンス(父アグネスタキオン)など、それ以外の兄弟も重賞やOPで好成績を挙げている。父ヴィクトワールピサは新種牡馬。母ダンスーズデトワールはマルセルブサック賞(仏G1・芝1600m)2着馬で、「Highest Honor×ダンシングブレーヴ」という日本向きの血を掛け合わせて誕生した。Highest Honorはほかにもレーヴドスカー、アドマイスといった優れた繁殖牝馬の父となっている。ダンシングブレーヴはサンデー系全般と相性が良好で、その母の父Droneはサンデーの父Haloと相似な血。したがって本馬はHalo≒Drone 4・5×5という素軽いクロスを持つ。芝向きの中距離タイプで、堅実に走ってきそうだ。