◆元ジョッキーの赤木助手も色気十分「ウチの馬でもきっとチャンスはありますよ」
かれこれ10年近く、夏の小倉に滞在し、ライブでGIII北九州記念(芝1200メートル)を観戦し続けてきた某専門紙のX氏がこんなことを言った。
「北九州記念は超ハイペースになって差し、追い込み馬が来るのが定番。去年みたいに流れが緩くなって、先行馬同士で決まることなんてほとんどないよ」
確かにその通りだ。スプリント戦に生まれ変わった2006年以降の前半3ハロンの平均ラップは約32秒5。コース、芝質の違いもあるだろうが、同期間で比べたスプリンターズSのそれが約33秒1なのだから、GI以上の激流としていい。
10年メリッサ、12年スギノエンデバー、13年ツルマルレオン…4角10番手以降の馬が豪快な追い込みVを決めたケースは数多い。
「去年が珍しく先行馬決着になったのなら、なおさら今年は差し、追い込み馬が…」と決め撃ち予想をしたら、またまたペースが遅くなってしまうのが“競馬あるある”なのだが…。
「いや、おそらく流れは速くなると思うよ。ベルカントにメイショウイザヨイ…その他にも速い先行馬が何頭かいるから」とはサトノデプロマット、ベルルミエールの2頭を出走させる高橋亮調教師だ。さらには登録前の段階では賞金的に微妙なラインにいると思われたニザエモンも優先順15番目でエントリー。陣営が「逃げ宣言」をしているこの馬も出走確定となれば、さらにペースは上がることだろう。
今年のメンバーで差し、追い込み馬といえば真っ先に浮上するのはサドンストームだが、上位人気必至だけに、あまり妙味はない。坂路野郎が気になるのは“あの男”の証言だ。
「現役時代、北九州記念には何度も乗ってきた。夏場のハンデ戦だから、条件戦からの勝ち上がりでも十分通用するんです。ウチの馬でもきっとチャンスはありますよ」
元ジョッキーの赤木助手が色気十分なのは、初のスプリント戦となった佐世保Sで差し切り勝ちを決めたミッキーラブソング。
準オープンでも出していって中団追走といったレースぶりなら、重賞ではさらにポジションは後ろになるだろうが、この北九州記念に限ってはそれがむしろプラスに出る?
専門紙X氏のアドバイス&赤木助手の証言を素直に受け取れば、ミッキーラブソングは無視できない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)