5月21日、大井「東京プリンセス賞」はブルーロバリーの独壇場だった。好枠から抜群のダッシュで先手を取り、道中持ったままマイペース。直線入口、軽く気合をつけると待ってましたとばかり脚を伸ばした。最後は後続に8馬身差。馬場と展開、さらに枠順、なるほどすべて恵まれた印象だが、結果的に他馬が手も足も出なかった。桜花賞10着からの大変身。しかしまあ、勝つときとはこんなものか。馬自身にそれだけ潜在能力があったというしかない。
中団よりやや後ろで脚をタメたアイチャンルックが、ゴール前大外を伸びて2着。前々を動いたキャニオンドリームが頭差の3着。桜花賞馬カネマサヴィーナス、同2着ラヴリーズンは末脚不発。同3着クラメガミも見せ場なく敗れ、3歳牝馬、勢力地図があっけなく崩れてしまった。
東京プリンセス賞(サラ3歳牝馬 定量 南関東G1 1800m梢重)
△(1)ブルーロバリー (54・今野) 1分55秒5
△(2)アイチャンルック (54・内田博) 8
△(3)キャニオンドリーム (54・鈴木啓) 頭
▲(4)ニューサイエンス (54・桑島) 2
(5)ゴールドファミリー (54・佐藤隆) 3
…………………………
△(8)カネマサヴィーナス (54・左海)
◎(11)ラヴリーズン (54・金子)
○(12)クラメガミ (54・張田)
単340円 馬複2860円 馬単4310円
3連複11470円 3連単59400円
ブルーロバリーは昨暮れ東京優駿牝馬、ビービーバーニングの2着。明けて準重賞・桃花賞を1番人気で勝っている。むろん能力の裏付けは十分で、大井コースの適性も証明済み。ただ前走桜花賞の内容がいかにも悪く、馬体など巻き上がって寂しくみえた。今回のパドック。相変わらず細く写り、テンションも相当高い。が、「追い切りがきっちりできたし、中身が違うと思っていた」と足立勝久調教師。結果からはまさしくそう。同厩舎は昨年ディーエスメイドンに続く連覇だった。1800m1分55秒5、ひとまずぎりぎりの合格ラインで、次走「関東オークス」、6月9日を考えると、馬体の維持が絶対条件だろう。思えば昨年と状況は酷似するかもしれない。ディーエスメイドンはレマーズガールの2着。骨っぽい馬が出てくると少し苦しいレベル。南関びいきとしては、やはりビービーバーニング(昨年はパレガルニエ)の思わぬ離脱がうらめしい。
アイチャンルックは地元大井に戻り本来の瞬発力をみせたが、パドックのイレ込みなど相変わらずで、最後8馬身差をつけられては収穫ともいいづらい。キャニオンドリームは充実中だが決め手不足。むしろインで大事に乗りすぎた感のあるニューサイエンスが穴馬タイプとしては面白いか。カネマサヴィーナスは今後も一発屋で推移しそう。ラヴリーズンは直線フットワークを乱し全力疾走ができなかった。「初めての右回り。それでもこれだけ戸惑うとは…」(金子騎手)。この馬に関しては結果11着が能力通りとも思えない。
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かしわ記念(5月26日船橋 サラ3歳以上 定量 交流G2 1600m)
◎マルカセンリョウ (56・吉田稔)
○ノボトゥルー (56・横山典)
▲スターキングマン (56・武豊)
△レマーズガール (54・内田博)
△トーシンブリザード (56・的場文)
△ナイキアディライト (56・石崎隆)
△ノボジャック (56・安藤勝)
スターキングマンは、2月4日川崎記念(2着)直後に故障が判明。しかし意外なほど早い復帰となった。強靭な基礎体力、その一端を示すものか。それでも予定通りの充電、オーバーホールとは話が違う(骨折)のも事実で、最終追い切りなど終いバッタリ。珍しく森秀行陣営のトーンも上がらなかった。元よりベストは1800~2000m。流れひとつで意外な苦戦もないではない。
マルカセンリョウは前走かきつばた記念で交流重賞2勝目。厳しい流れの2番手から抜け出し、ノボトゥルー、ビワシンセイキを押さえ切った。何より印象的だったのは、超のつくハイペースをむしろかかり加減、しびれるような手応えで進んだこと。JRA1勝で東海転入、地方競馬の常、番組に合わせ使われてきたが、どうやらこの馬の本質はスプリンター~マイラーと推測できる。あとは大井、盛岡、上山、ことごとく大敗の遠征競馬をどうこなすか。ただしラムタラ×ブレイヴェストローマンの成長力。今季は心身とも馬が違うと判断した。
ノボトゥルーは8歳馬ながら鬼脚健在。前3年かしわ記念、2、3、3着、実績通りの評価だろう。対してレマーズガールは船橋コースでなぜか道中行きっぷりが鈍くなる。初コンビ・内田博Jがどう乗るか。トーシンブリザード・的場文も興味深いが、前走高崎・群馬記念大敗からは一変までイメージしづらい。それなら前走テレビ埼玉杯でまくる新境地をみせたナイキアディライト。このあたりで終わってほしくない4歳馬だ。