今年の注目馬は?サマーセール2015プレリポート!
毎年8月の終わりに静内の北海道市場で開催されるサマーセールは、日本最大の上場頭数を誇り、1000頭を超える馬たちが登場します。現在、日本のサラブレット生産頭数は7000頭を切っていますから、生まれてきたサラブレッドの6頭に1頭がこのセールに上場される計算になります。サマーセールの歴史は古く、その始まりを調べてみたところ、「資料が残っていないのではっきりとはわからない」という結論に至りました。現在日本で行われているセールの中で最も歴史が古く、戦後の復興と高度成長期とともに大きく成長した日本競馬の根底を支えてきたセールであると言えます。
サマーセールの一番の特徴は、“条件がない”ということです。ここまで行われて来た主なセールは、セレクトセール(日本競走馬協会主催)とセレクションセール(サマーセールと同じ日高軽種馬農協主催)の2つで、どちらも上場するためには厳しい条件がありました。一定の条件を満たしたサラブレッドを厳選しますから、当然上場頭数も限られ、今年はセレクトセールが238頭(1歳のみ)、セレクションセールが231頭となりました。対して、今年のサマーセールの上場予定馬は1334頭、参加する牧場は500を超えていますから、まさに日本の生産界をあげての一大イベントなのです。
ここ10年以内の活躍馬は、ラブミーチャン(2008年取引/315万円)、コスモネモシン(2008年取引/367万5000円)、メイショウスザンナ(2010年取引/315万円)、モンストール(2010年取引/525万円)、マイネルホウオウ(2011年取引/651万円)、モーリス(2012年取引/157万5000円)、プレイアンドリアル(2012年取引/420万円)、ディアドムス(2013年取引/315万円)、クールホタルビ(2013年取引/189万円)、グァンチャーレ(2013年取引/210万円)など、JpnIを含むGI馬4頭、中央地方の重賞勝ち馬を多数輩出しています。
特出すべきは、その価格の安さでしょう。収得賞金2億5千万円を超えたラブミーチャンが約300万円、今年の安田記念を勝って収得賞金が2億円を超えたモーリスが約160万円(その後北海道トレーニングセールで1050万円で落札)という取引額。各セールの平均額を昨年の数字で比べてみると、セレクトセール(1歳馬のみ)が約3000万円、セレクションセールが約1200万円、サマーセールが約400万円と、一桁違っています。もちろん、サマーセールにも1000万円台を超える高額馬が登場しますが、セレクトセールやセレクションセールに比べてお手頃価格で購入できる傾向にあります。
1000頭を超える上場頭数の、条件が絞られていない上場馬たち。この中からダイヤモンドの原石を見つけ出すのは至難の業ですが、毎年重賞勝ち馬を輩出しているように、必ず活躍馬がいるのです。牧場関係者にとっては一年に一度の大一番ですし、購買者にとっては相馬眼を駆使していい馬を見つけ出す最大のチャンス。8月24日〜27日に掛けての4日間、熱い熱い攻防戦が行われます!
それでは、今年の注目馬をご紹介していきましょう。 まずは、母系の血統背景から注目している馬たちを上場番号順にご紹介します(取材・文:赤見千尋)。
【266:シルクジュリエット2014(父ストーミングホーム)】ジャジャウマナラシの半妹
【304:ダイヤモンドコア14(父ハーツクライ)】ナイキハイグレードの半弟
【318:デュプレ2014(ロージズインメイ)】コスモネモシンの半妹
【327:ナイストレビアン2014(父ディープスカイ)】ゴールデンダリアの半妹
【346:ハルゴゼン(父シンボリクリスエス)】ハルサンサンの半弟
【354:ピエナアマゾンの26(父ヴィクトワールピサ)】アクティブミノルの半妹
【536:インユアアームス2014(父クロフネ)】カラパナビーチの半弟
【540:カリーノカフェの2014(父アドマイヤムーン)】アロマカフェの半弟
【973:シーセモアの2014(エンパイアメーカー)】スマイルジャックの半妹
【974:タニノエクセレントの14(父マツリダゴッホ)】ウオッカの近親
【1046:ファインセイコーの2014(父タイキシャトル)】セイコーライコーの半弟
【1098:ラオパシオンの26(父ストリートセンス)】マルカボルトの半弟
【1163:キャッシュインクルーデッドの2014(父ハーツクライ)】
続いては、この世代が初年度産駒になる種牡馬の子供たちです。