アルフレードの具合の良さに舌絶好調「いや~いいね」/トレセン発秘話
◆「やっと大人になったかな」
“裏函”の関西馬を徹底取材&応援した夏の北海道出張も、函館閉場の先週をもって終了。今週はわが“ホーム”美浦トレセンに2か月ぶりに戻ってきた。まだ日も昇らぬ1日午前5時、開門と同時に暗闇の中でサラブレッドの大行進がスタートする。本来慣れた光景も、久しぶりに目にすると迫力に圧倒される。やはりトレセンこそ競馬の最前線基地…そう実感した“復帰初日”の朝だった。
さて、なかなか取材リズムが戻らぬままトレセンをさまよっていると、遠くから「お帰りなさい」の声が。見れば武市キュウ舎の井垣祐太助手が爽やかに手を振っている。「またよろしくお願いしますね」。こんな気持ちいいあいさつも“わが庭”であることを思い出させる。会うなり「お土産は?」と聞かれ「土産話なら」と答えるや、そそくさと姿を消した手塚キュウ舎の矢嶋大樹助手とはえらい違い…。そんな彼への当てつけも含め、アルフレード(新潟記念)の様子は担当の滝口政司キュウ務員にじっくり聞くことにした。
「いや~いいね。これだけ具合がいいのはGI(朝日杯FS)を勝った時以来。今は無駄なことも一切しないし、やっと大人になったかな。休み明けの新潟大賞典(3着)でもいい脚は見せたし、据え置きのハンデならチャンス十分だろう」
元来が威勢のいいタイプだが、確かに歯切れの良さは最近で一番。さっそく本命候補と目星を付ける一方、続けて大江原キュウ舎へと向かう。ここには当方よりひと足早く函館から美浦入りしたミュゼスルタンがいる。
「この馬と一緒に8月20日に美浦に戻ってきましたが、本当に暑かったのはその日だけ。翌日からはすっかり涼しくなり、体調管理も楽でした」
片山竜太郎助手の言葉に大きくうなずく。北海道帰り翌週は汗をしたたらせ取材するのが恒例行事だが、この日の温度計は21度を指していた。確かに例年のイメージとまったく違うのが今年の美浦の気候である。
「週刊誌に載っている1年前の写真(新潟2歳S)と比べてください。体重は同じでもやっぱり体のメリハリが違うでしょ。当時より気性の危うさも改善されてきた。目標は先だけど、昨年飛躍の舞台でまた上昇気流に乗せていきたいですね」
3歳世代のレベルの高さは北海道(ヤマカツエース=札幌記念0秒1差4着)でも実感済み。おそらくデキ八分でも、馬券圏内に食い込んでこよう。(美浦の宴会野郎・山村隆司)