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一昔前に言われていた格言が当てはまるキンシャサノキセキ(村本浩平)

  • 2015年09月15日(火) 18時00分


◆今後は父の後継種牡馬の代表格となるような活躍も期待できる

 今年の2歳リーディングサイアー。ダイワメジャーやディープインパクトといった、この部門の常連に割って入っているのが、この世代が2世代目となるキンシャサノキセキである。

 GIII小倉2歳ステークスでは、シュウジとサイモンゼーレがワンツーフィニッシュ。これが順位を押し上げた要因と言えるが、14頭の出走メンバー中、5頭がキンシャサノキセキ産駒だったことも見逃すわけにはいかないだろう。

 その5頭全てに共通するのは芝1200Mで勝利をあげていること。短距離適性の高さと仕上がりの良さの証明と言えるが、キンシャサノキセキ産駒の活躍の背景にあるのは、POG界において一昔前に言われていた格言である、

「サンデーサイレンス系種牡馬は2世代目以降を狙え!」

 が当てはまるような気がしてならない。

 近年の新種牡馬は、2歳戦と時期を合わせるように開催される競走馬市場を意識してか、産駒にも早い時期からの勝ち上がりが期待されている。その結果、新種牡馬の初年度産駒たちはデビュー時期も早まっていく傾向が見られるが、育成牧場や新種牡馬の産駒を受け入れる厩舎側は、適性や傾向が掴み切れて無く、期待されたような競走成績を残せないことも見られた。

 それが端的に表れた例が、キンシャサノキセキの父であるフジキセキと言えよう。サンデーサイレンスの初年度産駒であるフジキセキは、2歳時のGI朝日杯3歳S(当時)を勝利するなど2歳時を無敗で駆け抜け、3歳緒戦となるGII弥生賞も勝利。クラシック三冠も期待されたが、GI皐月賞に向けての調整中に、左前脚に屈腱炎を発症し、若くしての引退を余儀なくされた。

 既に種付けシーズンが始まっていた馬産地にとっても衝撃のスタッド入りとなったが、フジキセキはほとんどの繁殖牝馬に配合種牡馬が決まっていた状況下でも、118頭の繁殖牝馬を集めてみせる。だが、有力な繁殖牝馬のほとんどはサンデーサイレンスに配合されており、しかも先述した理由(新種牡馬の初年度産駒に対する期待の大きさと、そのギャップ)もあって、初年度産駒は目立った活躍を残せなかった。しかし、世代を重ねて行く中で産駒の傾向が掴めてからはキンシャサノキセキを始め、イスラボニータ、カネヒキリ、ダノンシャンティなど9頭のJRA・GI勝ち馬が誕生。2歳戦での勝ち上がりも優秀であり、POGでもフジキセキ産駒のお世話になった方も多いはずだ。

 キンシャサノキセキも父と同じように、種付けシーズン中の種牡馬入り(高松宮記念を勝利後に引退)だったことからしても、配合される繁殖牝馬の質も含めて、種牡馬キンシャサノキセキの能力を引き出せる配合馬が揃ったのが、2世代目の産駒たちなのだろう。種牡馬入り後の種付け頭数も安定しているように産駒数も多く、また、芝短距離戦における適性の高さも示したことで、今後は父の後継種牡馬の代表格となるような活躍も期待できる。というわけで、来年のPOG戦線で速攻タイプの指名馬をお探しの際には、キンシャサノキセキ産駒もリストに入れてもらいたい。

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