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ケイブルグラム(牡 美浦・国枝栄 父ディープインパクト、母ジンジャーパンチ)
牝馬ながらきさらぎ賞(GIII)を制し、オークス(GI)でも2着となったルージュバックの4分の3弟。母ジンジャーパンチはブリーダーズCディスタフ(米G1・ダ9f)をはじめG1を6勝、通算22戦12勝という成績を残し、米古牝馬チャンピオンに輝いた。父はフレンチデピュティ、クロフネを父に持つ繁殖牝馬と好結果を残しているようにDeputy Minister系と相性良好。母はフィジカルな能力に秀でたアメリカ血統でありながら、パワー一辺倒ではなく、たとえば3代母Sally Go Grayのように芝向きの血も抱えている。マンハッタンカフェとの交配でダート馬が出ず、父の切れ味にフィジカル面の強さを補強した産駒が出たのはそれが理由だろう。父ディープインパクトはマンハッタンカフェよりもさらに芝寄りの血なので、やはり芝向きの中距離タイプとなりそうだ。姉以上の活躍を期待したい。
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トウショウジルバ (牡 美浦・池上昌和 父キンシャサノキセキ、母スサーナトウショウ)
10月で閉鎖となるトウショウ牧場の生産馬。母スサーナトウショウは不出走馬だが、トウショウピスト(14年函館2歳S-GIII・3着)の半姉で、その母はセントウルS(GII)など5つのスプリント重賞を制した名牝シーイズトウショウ。母の父ロックオブジブラルタルはデインヒルの子でパワーがあり、やや一本調子なところがある。日本での種牡馬成績はさほど目立つものではなかったが、母の父としては成功し、ミッキーアイル、ジェベルムーサなどの活躍馬を出している。父キンシャサノキセキは小倉2歳S(GIII)を勝ったシュウジの父で、シュウジはHis Majesty=Graustark 4×6の全きょうだいクロスを持っており、本馬はHis Majesty 4×5なので配合の骨格が似ている。芝向きのスプリンターだろう。
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ネフェルティティ(牝 栗東・松元茂樹 父ゴールドアリュール、母ラヴェリータ)
母ラヴェリータは5馬身差で圧勝した関東オークス(JpnII)をはじめ7つのダート重賞を制した名牝。GIタイトルはあと一歩のところで手が届かなかったが、フリオーソに僅差で食い下がるなど高い能力を誇った。母の父Unbridled's SongはFappiano系で、現役時代にブリーダーズCジュヴェナイル(米G1)、フロリダダービー(米G1)と2つのG1を勝った。母の父としてトーホウアマポーラ(14年CBC賞-GIII)とトーホウジャッカル(14年菊花賞-GI)の兄妹、ダノンプラチナ(14年朝日杯FS-GI)、エーシントップ(13年ニュージーランドT-GIIなど重賞3勝)などを出しており優秀な資質を伝えている。本馬は父がゴールドアリュールなのでダート王を狙った配合。父母のダート適性を受け継ぎダートグレード競走で活躍する姿が目に浮かぶ。
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パローマ(牝 栗東・角居勝彦 父ディープインパクト、母ソルティビッド)
半姉アパパネは牝馬三冠に加えて阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)、ヴィクトリアマイル(GI)を制した名牝。それ以外の兄弟、トムトム(父ジャングルポケット)、シュガーヒル(父クロフネ)、ウラレナ(父キングカメハメハ)はいずれも1000万条件で走った。母ソルティビッド(02年フェアリーS-GIII・2着、02年ファンタジーS-GIII・5着)は繁殖牝馬としての能力が高く、どんな種牡馬を交配しても1000万クラスに到達する。母はこれまで非サンデー系種牡馬のみを交配相手としてきたが、初のサンデー系、しかもディープインパクトとの間に誕生したのが本馬。母の父がDeputy Minister系で、Promised Landのクロスを持つところは前出のケイブルグラムに似ている。もちろん芝適性は問題なく、クラシック路線に乗ってくることを期待したい。
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ミッキーディナシー(牝 栗東・角居勝彦 父ハービンジャー、母ディナシー)
母ディナシーは不出走馬ながら、トゥザグローリー(重賞5勝)の全姉、トゥザヴィクトリー(エリザベス女王杯など重賞4勝)の娘にあたる良血馬で、なんといっても当歳時にセレクトセールで史上最高額となる6億円(税抜)で落札された超高馬。初子のヴェルデホ(父シンボリクリスエス)はダートの新馬、特別を連勝し1000万条件で走った。2番子のアルーシュ(父チチカステナンゴ)は6戦未勝利で引退。3番子の本馬はハービンジャーが父。「ハービンジャー×キングカメハメハ×サンデーサイレンス」という配合は先週の新馬戦(芝1600m)で2着となったグレイスノートと同じ。フェアリードール牝系にハービンジャー、という配合はプロフェット(15年札幌2歳S-GIII・2着)、スワーヴジョージ(現1600万下)などが出ており相性がいい。芝中距離で期待できそうだ。