開幕週中山で差しが決まっていたのには確たる理由あり/トレセン発秘話
【次回公開日変更のお知らせ】
次回公開の「東スポ×netkeibaコラボコーナー(木)」は、祝日による東京スポーツ紙面発行の都合により10月1日18時の公開となります。予めご了承くださいますようよろしくお願い申し上げます
◆「素質はここでも負けてない」
「スタートしてようやく向正面で画面に映ったと思ったら、最後方の位置取り。その瞬間は見るのをやめようかとさえ思ったんですけど(笑い)。中山であの位置から差し届くんだから、競馬は分かりませんよねぇ」
週明けの美浦で、斎藤誠キュウ舎の某スタッフが驚きを交えて、先週の京成杯AH(フラアンジェリコ優勝)を振り返った。確かに切れ味よりも、自在性が問われるのが小回りの中山。器用な立ち回りがひとつの武器となるのも確かだろう。
だが中山マイルは時として、アッと驚く追い込みがハマる舞台。例えば今春のGIIニュージーランドTで大出遅れしながら0秒1差2着まで猛追したグランシルクが記憶に新しい。余力を残して直線を迎える戦法も、急坂のある中山では大アリなのだ。
「確かに先週は開幕週の割に結構、差しがハマってましたねぇ」と振り返った前出の某スタッフ。実は、これにも確たる理由がある。今夏の札幌もそうだったが、開幕週=先行有利は、もはや昔話だ。馬場保全技術が進歩し、エアレーション作業(馬場に穴を開けて通気性や排水性、さらにクッション性を高める)を施すようになった今、開幕週でも馬場は軟らかく、極端な高速化を防ぐ傾向にある。2年前の京成杯AH(1分31秒8)より1秒5遅いV時計がすべてを物語ろう。
さて、そんな馬場状況を踏まえると、セントライト記念で面白そうなのが中山2戦2勝のレッドライジェルだ。前走の札幌・HTB賞は7着に終わったが「雨上がりの馬場がこたえたし、全体の流れも速く、かみ合わなかった」と、津曲大祐助手はサバサバと振り返る。続けて「中間は至って順調だし、馬体に張りもあり、一度叩いた効果も感じられます。前走で評価を落としているけど、素質はここでも負けてないと思うので」と巻き返しを力強く宣言した。
同じ舞台となる3中・山吹賞(芝外2200メートル)では、最後方から直線一気の差し切り勝ち。上がり3ハロン33秒7の末脚は次位を0秒4上回る鮮烈さだった。最終判断は追い切りをチェックしてからだが、先週の京成杯AHに続いてアッと言わせるなら、この手のタイプかもしれない。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)