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秋に活躍する地方馬

  • 2015年09月18日(金) 18時00分


◆今後の地方馬の奮起に期待

 16日に行われた大井の東京記念。プレティオラスが直線追い込んでくるというパターンは、勝つかどうかは別として、多くの人が予想していたと思う。しかしそれがラチ沿いからということには驚かされた。4コーナーから直線に向くところで内に切り替えた一瞬の判断は見事だったが、道中は最後方ではない、いつもより少し前めの位置取りで、3〜4コーナーでは外に持ち出さずに内めにいたので、もしかして最初から内を狙っていたのかもしれない。

 悔しかったのが、負傷の吉原寛人騎手に替わってユーロビートの手綱をとった森泰斗騎手だろう。実はユーロビートの中央でのデビュー2戦目、勝利に導いていたのが森騎手で、それ以来のコンビだった。59kgを背負っても1番人気ゆえ勝ちに行かなければならず、積極的に2番手を追走。直線では、カキツバタロイヤル、タイムズアローが迫ってきたが、これらはなんとかしのいだ。森騎手も、まさかプレティオラスが内から来るとは思わなかったのではないか。これはプレティオラスと本橋孝太騎手のほうを褒めるしかない。

 さて、いよいよJBCの足音が聞こえてきて、この東京記念も含め、すでに全国で『JBC指定競走』(勝ち馬に優先出走権はないが、選定にあたって成績が重視される)が行われている。そして9月30日の大井・東京盃から、勝ち馬に優先出走権が与えられる『Road to JBC』も始まる。

 それでちょっと心配になってきたのが、今年ここまでに地方所属馬で交流重賞を勝ったのが、先のユーロビート(盛岡・マーキュリーC)しかいないということ。2着も、ポアゾンブラックの北海道スプリントCとクラスターC、タガノジンガロのサマーチャンピオンしかない。

 JBCへ向けてということでは、地方の有力馬が少ないのは寂しいし、さらにはNARグランプリの選定にも関わってくる。

 ちなみに中央・地方の統一グレードができた1997年以降、NARグランプリの年度代表馬は、いずれもGII/JpnII以上の勝ち馬から選出されている。JpnIII勝ちや、2着までの中から年度代表馬を選ぶということになると、やはり盛り上がりに欠ける。

 とはいうものの、近3年の年度代表馬を見ると、昨年のサミットストーンが11月の浦和記念JpnII、一昨年のハッピースプリントが12月の全日本2歳優駿JpnI、2012年のラブミーチャンが10月の東京盃JpnIIという、それぞれのタイトルが決めてとなって選出されている。いずれも10月以降に制したJpnII以上のタイトルだ(ちなみにJpnII以上の勝利ということでは、昨年はジャジャウマナラシが11月に兵庫ジュニアグランプリJpnIIを、2012年にはアスカリーブルが6月の関東オークスJpnIIを制している)。

 意外にも地方馬は、秋以降にがんばっているのだ。JBCを盛り上げるという意味でも、今後の地方馬の奮起に期待したい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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