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すべてに破格・04東京ダービー馬

  • 2004年06月07日(月) 18時12分
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 6月3日大井「東京ダービー」。アジュディミツオー、圧巻の逃げ切りだった。ゲートの出はそうよくなかったものの、瞬時に体勢を立て直し、そこからのダッシュ力、加速力が一枚違う。3F35.9秒、5F61.3秒、やや速めのラップを踏んだが、力み、気負いは感じられず終始スムーズ。3~4コーナー、外から並んできたベルモントストームを直線入口で振り切り、あと1Fからはほぼ独走。余裕十分にゴールを切った。

 2分05秒2は、2000m移行後、過去6年のダービーレコード。気持ち軽めの馬場としても、文句なしに破格といえる。「まだ実感がわきません」と、ダービー初勝利の佐藤隆騎手。「大型馬で跳びも大きいからスピード感はそれほどない。でも現実に速くて強い馬ということ。4コーナーで石崎さん(ベルモントストーム)が並んできたけど、直線(横に)見えなくなって、ああこれは勝てるかと思いました」。

 そのベルモントストームは伸びきれず4着。好位のインをソツなく乗ったキョウエイプライドが2着に押し上げ、先行した人気薄ジョウテンデヒアが3着。辛うじて掲示板5着を確保したステルスライン。羽田盃馬トキノコジローは8着と敗れ、ゼレンカ、バックオフゴーはいいところがなかった。

東京ダービー(サラ3歳 定量 南関東G1 2000m良)

▲(1)アジュディミツオー (56・佐藤隆) 2分05秒2
△(2)キョウエイプライド (56・的場文) 2.1/2
 (3)ジョウテンデヒア  (56・野崎)  1.1/2
◎(4)ベルモントストーム (56・石崎隆) 3/4
○(5)ステルスライン   (56・桑島)  1.1/2
…………………………………………
△(8)トキノコジロー   (56・山田信)
 (13)ゼレンカ      (56・内田博)
△(15)バックオフゴー   (56・早田)
 (16)ブルーローレンス  (56・酒井)

単480円 馬複1950円 馬単3350円
3連複145340円 3連単528990円

 アジュディミツオーは、ごく素直にみて“怪物”の評価が妥当だろう。キャリア4戦目(5戦以下)の東京ダービー馬は史上初めて。しかも初コース、初ナイター。それを堂々たる正攻法、レースレコードで突っ走った。何より1000m→1500m→1800m→2000mを、いともあっさりクリアする競馬センス、精神力が並みではない。平均値は高いがなぜか大物が出なかった父アジュディケーティング。しかしいよいよ真打ち登場、突破口が開けたか。「次走は馬と相談して。まだ若さがあるし、目標は地方競馬を代表する馬に育てること」(川島正行調教師)。それでも7月8日、距離、コースと同条件「ジャパンダートダービー」。今年のJRA布陣なら、互角以上の感触がある。少し話は早いが、あえて過去をたどればホスピタリティあたりとイメージがダブるだろう。ここ一連、力走の反動だけが少し怖い。

 ベルモントストームは、結果納得の敗戦と考える。10キロ増、パドックなどいつにも増しておっとり見え、いざレースも鞍上が気合を入れて先行策。うがった見方なら次への布石とも受け取れた。「今日はまだ重いから仕方ない。次は走るよ」(石崎隆騎手)。彼がレース直後、これほど明快なコメントを出すのは珍しい。体調8分でアジュディミツオーにいったん並びかけた絶対スピードと勝負根性。次走がJDダービーなら、それこそ一騎打ちの予感がある。

 ジョウテンデヒアは、外枠から勝ち馬に食い下がりフロックとはいえない内容。テン乗り野崎騎手だったが、実にいいフィーリング。展開ひとつで大一番でも上位が狙える。ステルスラインは道中最後方に構え直線だけで入着を確保した。鞍上らしい競馬。が、現時点ではおそらくこれが最上の策なのだろう。上位4頭とは絶対スピードで差がある。トキノコジローは本質的にカウンター、一発強打タイプで、今回不発でもその個性は忘れられない。むしろわからないのはバックオフゴー。気配良好、中団外めの位置取りも悪くなかった。高橋三郎厩舎。脚元に問題ないとすれば、別方面のチェックがあるはず。ひとまず次走は気配をみたい。

      ☆      ☆      ☆

関東オークス(6月9日川崎 サラ3歳牝馬 全馬54キロ 交流G3 2100m)

◎アクイレジア    (松永幹)
○ビュアブラウン   (武豊)
▲クリスタルヴィオレ (後藤)
△スガコ       (一ノ瀬)
△ブルーロバリー   (今野)
△トーセンジョウオー (蛯名)
△グリンセレブ    (的場文)
 アイチャンルック  (内田博)
 カネマサヴィーナス (左海)

 アクイレジアには、1月のデビュー戦から熱い期待を持っていた。ロジータの仔。父フォーティナイナーだから当然ダートGを狙った配合。思惑通りダート3戦負け知らず。母ゆかりの川崎へ勇躍駒を進めてきた。何やらわかりがよすぎる、ストレートすぎる話だが、競馬の持つ基本的なロマンとはやはりこれだと素直に思う。前走端午Sを、古馬1000万レベルの1800m1分53秒9。先日ユニコーンS勝ちトップオブワールドを完封だから数字上の裏付けも十分だろう。ここの勝ちっぷりしだいでは、あるいはJDダービーも…。個人的にはそんな夢さえかけている。

 クリスタルヴィオレ、ピュアブラウンは、ともに芝G2~G3で良績のある実力派だが、5走前府中の道悪を差し切っている後者に、よりダート適性を感じる。レベルの怪しい南関東勢だが、あえて大穴なら、時計がかかってスガコ、グリンセレブ。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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