◆京都の開幕週はシンハライトとリュラという2頭の逸材に是非注目してほしい
今週の阪神開催が終わると、いよいよ大物が続々と登場する4、5回京都開催へと移行する。スケジュール的な話から言っても、夏の北海道開催が終わってから栗東へと移動、そこから調教していくとちょうどこの10月のアタマになるため、各厩舎の“主役”はこの時期に集中してしまう。となると、困るのが同牧場の素質馬の調整。気に留めない厩舎関係者もいるが、送り出す牧場側の見解が必ずしもそうとは限らない。特に大手のノーザンFともなると、「そのうち当たるにしても、できるだけ最初くらいは分けて使ってほしい」というのが偽らざる本音なのだろう。
石坂厩舎ゆかりの血統とも言えるシンハライトは開幕週の牝馬限定のマイル戦…クラシックを目指す牝馬においては“王道”とも言えるこのレースを選択してきた。当初は「ゲートさえ受かれば阪神で使う」と言っていた松田博厩舎のハープスターの半妹リュラだったが、1度目の試験で失敗。予定がずれ込んだことでリュラも4回京都の開幕週を目指すことになってしまった。「別によその馬は関係ないさ。強いのがいたって関係ない。使いたいところを使うさ」と言って、松田博調教師もこの牝馬限定戦を検討したのだが、ご存知のとおりこの2頭は牧場も馬主(キャロットC)も同じ。それで別のレースを検討することになったのだが、11日の芝1800メートル戦は関西圏に重賞がないため、有力騎手も東上。そこで京都大賞典を同じ日に行われる芝2000メートルへと向かうことに。「スタートもハープスターと違って出る方だし、走りが素軽い。牧場で見た時はふっくら見えたが、こちらに来ると運動量が増えるからな。馬体はここにきてかなり締まってきた。気性も相変わらず大人しいし、カイバ食いもいい。勝ち負けは別にしても、どんな条件でも走れるだろう」と松田博調教師も泰然自若といった口ぶり。来週の京都の開幕週はシンハライトとリュラという2頭の逸材に是非注目してほしい。
その少し先になるだろうが、音無厩舎にもクラレント、レッドアリオン、リディルの半妹レッドアヴァンセがもう間もなく入厩する。「春先に見た時に比べて馬がかなり成長してきた。11月の半ばあたりで使い出せればいいな。恐らくこれが今年のうちの厩舎の1番馬」と音無調教師も絶賛。近年は牡馬を牝馬が凌駕することも珍しくなくなったが、今年もひょっとして…そんな予感を感じずにいられない。
スマートオーディン、ロライマと立て続けに2頭の新馬が勝ち上がった松田国厩舎。トレーナーもつい先日65歳の誕生日を迎えたということは、定年まであともう少し。それだけに今年の2歳にかける思いは強い。「スマートは東京スポーツ杯2歳Sを軸に。その前にどのレースを使うか」と松田国師もGI、そしてダービーをすでに意識している。もちろん、この2頭だけではない。こちらも京都デビューを予定しているバティスティーニもかなりの逸材のようだ。「緩さはあるが、やるごとによくなっている。これも走ると思います」と松田国調教師。更にはダイワスカーレットの4番仔ダイワウィズミーもゲート試験受験へと一歩前に進んだ。久しぶりに“マツクニ旋風”が巻き起こるか。今後も注目していてほしい。