松田国調教師の舌も滑らか「スマートオーディンは朝日杯FSに、ロライマは暮れのホープフルSを目標に」
かつては「POGで避けては通れない」とまで言われた松田国厩舎。しかし、若手調教師の台頭やトレーナー自身の定年が近づいたこともあってか、近年は思うような素質馬が集まらなくなった。ところが、今年の2歳馬たちは久しぶりに“復活”を予感させる上々の滑り出しを見せている。
特に強烈だったのが4回阪神開催で勝ち上がったスマートオーディンとロライマの牡馬2頭。前者は「切れ」、後者は「粘り強さ」がセールスポイントで、いずれもクラシックで戦い抜く上で重要な資質を備えている。
「スマートオーディンは大目標を朝日杯FSに置いて、その間に1戦挟もうかと思っています。ロライマは1度放牧に出して暮れのホープフルSを目標に。中山の2000メートルがピッタリの勝ち方でしたからね」と松田国調教師の舌も滑らかだ。
どの厩舎にも言えることだが、「定年=解散」が近くなるとオーナーも素質馬を預けなくなるもの。現に定年を待たずに解散する厩舎も後を絶たない。そんな状況で自身を救ってくれるのは、自らが育ててきた馬なのがこの世界のいいところ。スマートオーディンの父は2010年のNHKマイルCをレコードで制し、松田国厩舎健在を印象付けたダノンシャンティ。そしてロライマの父は毎日杯→NHKマイルC→ダービー(04年)というご存じ“マツクニ・ローテ”を完成させたキングカメハメハで、母のミルフィオリもまた松田国厩舎の所属馬だった。
この勢いは4回京都開催になっても衰えそうにない。まずは12日の芝内2000メートルでデビュー予定のバティスティーニ(牡=父キングカメハメハ、母バプティスタ)。
「まだ緩さはあるが、稽古を積むたびに良くなっていますね。胸が深くて、牧場のスタッフも“能力が高い”って口を揃えてました。この馬も前開催で勝ち上がった2頭と一緒に戦える馬だと思います。少々強い馬が出てきても、恥ずかしい競馬はしない自信はありますよ」とトレーナーも胸を張る。
さらには5月半ばの入厩から、ひたすら我慢強く調整を続けてきたダイワウィズミー(牝=父キングカメハメハ、母ダイワスカーレット)も先週ようやくゲート試験をクリアした。
「一時はゲート練習の影響で馬体重を470キロくらいまで減らしましたが、今は500キロを超えるくらいに。これからじっくり馬体を締めてレースに臨ませたい」
最後にひと花と言うにはまだ早いが、この2歳世代の“恩返し”が、久しぶりの松田国厩舎の躍進を後押ししてくれるに違いない。
注目厩舎がもうひとつ。4回阪神開催の新馬戦でプレスティージオ→ヴェンジェンスと2週続けて勝利を飾った大根田厩舎もさらに勢いに乗って“第3の矢”を放つ。厩舎ゆかりの血統でもあるロングブリオ(牝=父タニノギムレット、母ロングカイソウ)だ。
母ロングカイソウは交流重賞勝ち馬で繁殖としての期待も大きかったが、自らの体質の弱さを伝えてしまうケースが多く、大成する産駒がいないまま(父ゴールドアリュールの1歳を最後に)“繁殖馬引退”となってしまった。
「とにかく骨が弱くてね。子馬をおなかに抱え切れなくなって、引退することに。そんなだから産駒も骨が弱い馬が多くて…。ただ、この馬は体もそれほど大きくないし、ここまでは無事にきている」と大根田調教師。ロングカイソウの“恩返し”なるか。10日の京都ダート1400メートル新馬戦のロングブリオの走りにも注目してほしい。
【次回公開日変更のお知らせ】
次回の「東スポ×netkeibaコラボコーナー・吉田竜作マル秘週報」は、祝日による東京スポーツ紙面発行の都合により10月15日18時の公開となります。予めご了承くださいますようよろしくお願い申し上げます