今週末の10月17日に、オーストラリアで行われるコーフィールドC(豪GI)。ホッコーブレーヴ(美浦・松永康利厩舎)とフェイムゲーム(美浦・宗像義忠厩舎)の2頭が参戦します。両馬は9月19日に現地に入りして調整中。その先には、来月のメルボルンC(豪GI)も見据えています。そこで、現地で奮闘する2頭の厩舎スタッフが集結。勝負目前の緊張感や遠征秘話、現場の雰囲気や熱気を、厩舎の壁を越えた“チームジャパン”で熱く語り合います。■出演
ホッコーブレーヴ 国原厩務員、小西助手フェイムゲーム 菊池厩務員、玉舎(たまや)助手■取材
安藤裕(元ジョッキー、通訳や海外遠征のレースコーディネーターとして活躍中)
出発する時はケンカばかりだった
――両陣営とも海外遠征は初めてですが、まずは2頭の輸送がどうだったのかからお聞きしてもいいですか?
国原 やっぱり初めてということで、最初は「どうかな」って思いましたよね。機内に積むまでの僕がいない少しの間でも、ブヒブヒ鳴いていたみたいなので心配したんだけど、馬同士、仲良くやってる感じだったよね?
菊池 そうですね。一緒に(乾燥)草食べてましたもんね。
国原 最初うちのブレーヴが、フェイムゲームの草を横取りしてね(笑)。で、中継地のシンガポールを発つ時は、今度はブレーヴのをフェイムゲームが食べたがって。2頭で鼻づら合わせながら、仲良く食べてた。
菊池 出発する時はあんなにケンカばっかりしてたのに、気がついたら仲良くなってましたよね。何でなんでしょう(笑)?
国原 たぶん、お互い不安な状況になって頼り合ったんだろうね。それは絶対あると思うよ。
――トランジットで5時間かかったじゃないですか。人間も疲労したけど、馬への影響というのは?
菊池 それでも、普段の馬運車よりもはるかに快適そうでしたよ。いつものフェイムゲームだったら、もっと体が減るかなって思ってたんですけど、馬運車で関西に行くよりも落ち着いていました。
国原 ブレーヴもそう。京都や阪神に行くってなったら、朝の4時に美浦を出発なので、飼い葉は馬運車でつけながら行くでしょう。いつも「相変わらず食べてないなぁ」ってなるの。現地に着いてから飼い葉をつけても、やっぱりあんまり食べなくて。次の日の朝になったらようやく、ちょっと食べてくれてるかなというパターンが多いんだけども、今回は2頭とも食べてたね。
小西 ブレーヴの場合、美浦での検疫期間から飼い食いが良くなったんだよね。たぶん、いつもより静かな環境だったのがよかったのかなと。
▲現地に到着したホッコーブレーヴと国原厩務員
▲フェイムゲームと菊池厩務員
――オーストラリアに着いてからはどうでしたか? ブレーヴは、着いてしばらくして2日くらい休ませましたけども?
小西 うん。あれは、国さんと相談して判断したんだけどもね。結果的には良かったよね?
国原 良かったと思う。土曜にこっちに着いて、日曜に曳き運動して、月曜に乗り始めたら、全然食べなくなってね。血液検査をしたら疲労が残ってるということで、火曜水曜を休みにして、木曜から普通のメニューにして。
小西 それでリカバリーできたと思うよね。そのおかげか、今はいたって順調です。
――その素早い判断ですよね。輸送が順調にいったとは言え、これだけ環境も変わってとなると負担もあったんでしょうね。フェイムゲームはどうでしたか?
玉舎 たしかに、負担はあったのかなって思った。乗ってみたら正直、「しぼんだな」「小さくなったな」って感じたもんね。レースまでひと月あるけど、どこまで回復するかなって。そこは不安だった。
でも、3日もしたら草を食べたり、砂遊びもするようになって、だいぶリラックスしたみたいでね。1週間くらいゆっくりさせたら、もうだいぶふっくらしたから。むしろ、しすぎたかなっていうくらいに回復しからね。